Yayga!

イェイガ!(Yay!+映画)- 叫びたくなるような映画への思いを書き殴ります

『エージェント・ウルトラ』

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監督:ニマ・ヌリザデ キャスト:ジェシー・アイゼンバーグクリステン・スチュワート/2015年
 
皆さん、こにゃにゃちは。給付金振り込まれてるぅー?

昨年は私、小学校のPTA役員と学童の父母会役員を兼任した地獄の年でした。特に学童の方が市内10クラブを横断する組織での活動だったものでコミュニケーションが難しく、何より困ったのが各クラブで持つデータを例年USBで引き継いでいること(詳細は省くが、USBがクラブ分10個存在すると想像されい)。
 
コロナで新役員への対面での引き継ぎができなくなり、10人グループのLINEで「あのUSBは誰に渡せば?郵送?手渡し?」とか「あのデータはどこに入れればいいんですか」「こっちです」「いやこっちですよ」と大混乱。あまりに代表クラブの仕切りがむちゃむちゃだったもんで、黙して坐していた私は、ついに抜刀した。クラウドにアカウントを作ってデータを入れ、送りつつこう書いたね。
 

いまどきUSBって、USB(うそだべ)?
 
 
キマったね。
 
まあ、10人もの人間がワチャワチャやり取りしている間は発言しないのが賢明ですよね。「私も〇〇さんに賛成です」とか言われてもさ、顔もよう覚えてないのに「私」が誰で「○○さん」が誰かも分らんし、仮に建設的な意見が投じられても混乱の濁流に流されてしまう。なので、抜刀のタイミングが重要なんだよ。
 
以上、やなぎや抜刀斎の居合抜き講座でした。ここまで読んだ人は講座代金置いてってよねっ。
本日はエージェント・ウルトラ』で、USB(うさばらし)!
 
 

◇あらすじ

日々をのらりくらりと過ごしてきたダメ男のマイクは、恋人フィービーに最高のプロポーズをしようと決心するが、なかなかうまくいかない。そんなある日、アルバイト先のコンビニで店番をしていたところ、謎の暗号を聞かされたマイクは、眠っていた能力が覚醒。スプーン1本で2人の暴漢を倒してしまう。実はマイクは、CIAが極秘計画でトレーニングされたエージェントだった。マイクは、計画の封印を目論むCIAに命を狙われることになるが……。(映画.com)


ある田舎町で、質素ながら幸福な毎日を送る二人。精神不安定なジャンキー男子マイクはスイッチが入るとすごい勢いで妄想を巡らせるクセがあり、常識は欠如しているが、恋人フィービーへの愛情は深い。

マイクを演じたのはアメリカの二宮和也ことジェシー・アイゼンバーグアメリカの坂口健太郎とも言われる。若いのかと思ったら、もう36歳なのねー。デヴィッド・フィンチャーソーシャル・ネットワーク(2010)が良かった。

 

フィービーにはクリステン・スチュワート、当ブログでは以前『トワイライト 初恋』にてタマネギ女優として紹介済みである。『トワイライト』シリーズで共演したロバート・パティンソンと付き合うもフロに入らないことに辟易して別れたとかそうじゃないとか、レッドカーペットでヒールを脱ぎ捨てるパフォーマンスを見せるなどクールなトンガリ系女優だが、私はヒールでないと完成しないファッションもあると思っているので、クリステンには気が向いたらヒールも履いてもらいたい。

ジェシーとクリステンは『カフェ・ソサエティ(2016)でも共演しており、ハイソでセレブな『カフェ・ソサエティ』鑑賞後に本作を観ると、パンクな二人をより楽しめること請け合い。特にジェシーをきりりと支えるクリステンは、ずっと見ていても飽きないくらいに眼福。

 

 

◇ご当地系CIAエージェント
あらすじの通り、実はジェシーはCIAの実験プログラム「ウルトラ計画」で造り出された超人的な能力を持つエージェントだった!
彼の教育担当であったラセター(コニー・ブリットン)がある理由から計画を中止、以降ジェシーは記憶と能力を封じられ、監視を受けながら一般人として生活していた(だから、様子がおかしかった)。しかし、失敗作ジェシーをこのまま生かしておくことに反対するCIAの新たな指揮官イェーツトファー・グレイスジェシーの抹殺を決定、暗殺部隊“タフガイ”を送り込む・・・。

という話なのだが、まあまあ、ゆるいよ。というかラブストーリーなんで、CIAとか陰謀などは話を盛り上げるための恋の障害物と思ってください。ご当地感が楽しく、”タフガイ”の襲撃場所はジェシーの働くスーパー、自宅、ホームセンターなど日常的な場所だし、何と言ってもジェシーが手近にある物を引っ掴んで殺傷道具に変えてしまうことのおかしみね。
 
さらに四角と円形の日用品がそれぞれ襲撃と撃退を表していて、スーパーの看板、店内の陳列、真上から映されるレジスター、ローズのサングラスなど、これから起こる災厄を予感させるものは四角く、カップ麺とスプーン、フライパンにラセターのサングラスとジェシーの身を守ってくれるものは丸い。

そう、よくわからないが、私は四角と丸に敏感なのである!コレはしかくだね、これはまるじゃないのと気になりだしたら止まらない。集中できなくなるから誰か止めて欲しい。え?コンビニの看板はだいたい四角だし、丸いレジスターなんてないじゃん、ですって?
USB(うるせえ些細なことはいいだろブゥー)。
 
 

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◇イェーツどつきまわしの刑
ジェシーは頭がイカれているので、タイミングもよく外す。クリステンのため計画したハワイ旅行を自らおじゃんにしたというのに、気落ちしているクリステンを窺いながら「今がいいかも」とプロポーズをしようとする。絶対に今じゃないと思う。
 
ジェシーがどんな奇天烈な行動を取ろうと、彼を盲目的に愛するクリステンだが、異常な包容力には理由があった。みんな、途中で何となく気付くだろう。
クリステンの正体を知り一旦は拒否したジェシーが、彼女を助けるためホームセンターに「君を愛している!」とトラックで突っ込んでくる場面で、ハワイ旅行用のアロハシャツに着替えているのには爆笑した。それ、今着るの?

このホームセンターで、ジェシーVSタフガイ、クリステンVSイェーツの戦いが繰り広げられ、物語は盛り上がりを見せるのだが、クリステンとラセターの女二人によるイェーツどつきまわしが、これまた面白い。
計画の新しい指揮官がイェーツだと知ったラセターは、「まさか、あなたが責任者?」「媚を売る天才」「誰の決定?ダフィー・ダックと言いたい放題。クリステンは「事務職のあんたが、ここでなにしてんのさ」と馬鹿にする(このときのクリステンの顔!)
 
イェーツ、あんまりな言われよう。

その後、イェーツに引きずられたりぶん殴られたり、殴り返したり蹴飛ばしたりするクリステンのズタボロ感が迫力なのだが、血に染まった歯をむき出して中指を立てるショットはトゥルー・ロマンス(1993)のアラバマにそっくり。先輩イカカップルへのオマージュなのかしら。どっちがイカれてるか選手権をするといいと思う。
 
でも、ラストはなかなかに感動的なの。
ジェシーとクリステンが傷だらけになりながらも敵を倒し、外に出ると、ホームセンターは警察に包囲されていた。ヘリとパトカーのライトで照らされる中、よろよろと指輪を取り出しクリステンに差し出すジェシー今かよ!

両手で口を抑え、感極まるクリステン。お前もな。
 
エスをもらったジェシーは喜びのあまり、「結婚するぞー!」と警察に叫んでテーザー銃で撃たれる。銃の線と倒れた二人が交差してできたバツ印が恋の成就を示し、「■+●=×」の式が完成するところなんか、オシャレかもしれない。
 
眼福だし楽しいし、憂さ晴らしに打ってつけの映画です。別にそんなにウサに拘る理由なんかないし、ウサが溜まっているわけじゃないけどさ?むしろ、私は元気なので、本日はUSB(うさぎ跳び)しながら、お別れです。
 
ピョン、ピョン、ピョン。それではみなさん、また会う日まで〜。
 
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