Yayga!

イェイガ!(Yay!+映画)- 叫びたくなるような映画への思いを書き殴ります

『2021年に観た映画雑感&ベスト3』

リトル・ヤナギヤ「皆さん、こんにちは!リトル・ヤナギヤです♡お久しぶりね。なんと約3ヶ月ぶりの更新ですって!ヤバ。」
やなぎや「生きてます、ギリギリ生きてます。というわけで、遅まきながら『2021年に観た映画雑感&ベスト3』です」
リトル「ぶっ。2022年も明けて21日というのに、去年の話をするの?」
やなぎや「そもそも私は映画館で観る数が少ないから、その年公開された映画の感想ってあまり書けないのね。それで『○○年に観た映画ベスト』にしてるんだけど、だから逆に、どのタイミングでも成り立つわけ」
リトル『2021年1月1日~2022年1月21日までに観た映画雑感』ってわけね」
やなぎや「まどろっこしいけどな」

※初めて読む方のために〜リトル・ヤナギヤは、やなぎやの別人格です(大分説明を省略)。

2020年はこちら。

yanagiyashujin.hatenablog.com

 

リトル「去年は随分と最近の日本映画を観てたわね。それも暗めな、マイナーどころを」
やなぎや「なので、今回日本映画が多くなるかも。地方でやり直そうとする人間が田舎独特の慣習に潰されたり、閉鎖的な空気にメンタルやられる系が好き」
リトルそんな『系』ねぇよ。それにしても最近の日本映画、ニ文字の題名多すぎない?」
やなぎや『影裏』『楽園』『犬猿』『最悪』『悪人』『怒り』
リトル呪怨』『残穢』『回路』『凶悪』『告白』ゥゥーー!!」
やなぎや「どれがどれだか分からなくなってる」

 

◇『影裏』

2020年製作/134分/日本
監督:大友啓史 キャスト:綾野剛松田龍平

f:id:yanagiyashujin:20220120165502j:plain

やなぎや「主人公の今野綾野剛は異動先の職場で、独特な佇まいを持つ日浅松田龍平に惹かれる。でも日浅は捉えどころがなく、今野に構ったかと思えば突然消えたり、またフラリと現れたりするの」
リトル「冒頭から綾野剛の白い足が艶めかしく映され、その後もやたらとパンイチ姿が多い。まるで隠れて生きているような様子からも、綾野がどんな青年であるのか分かるわね」
やなぎや「この俳優二人が揃えばって感じなんだけど、なかなか良い映画だったよ。ちなみに、『映画.com』での評価は2.8です」
リトル「低ッ!ああ、よく見たら『るろ剣』の監督か」
やなぎや「吐き捨てるように言わないよ」
リトル「おかしな世の中だよなー!当事者間の問題に過ぎない不倫をした俳優は叩かれんのに、ロリコン野郎の作品は堂々公開されるんだからさー!」
やなぎや「それは、るろ剣の原作者ね。いいから、映画の話を進めないか」
リトル「あら、そ?漫画家って犯罪者と紙一重のやつ多いよなって話したかったのに」
やなぎや「(スル~)。明らかに裏のある日浅だけど、今野だけには心を開いているのかな?と思ってしまう。果たしてそうだったのか否か、今もよく分かんないんだよね」
リトル「日浅が今野の気持ちを搔き乱しては宙ぶらりんにする状態が続くんだけど、印象的なシーンは、久々に現れて、まるで時間の経過などなかったかのように『釣りに行こうぜ』と誘う辺りのシーケンス」
やなぎや「浮き立った今野が、買い揃えたアウトドアのギアを携えて出かけてみれば、日浅は嘘のように冷たい態度を取るんだよね。折角の道具をバカにしたり、無視して他の人間とおしゃべりしたり。今野の気持ちが萎んでいく、嫌な雰囲気と気まずさが忘れらないよ」
リトル「どんな人間だよコイツ、ってなるよわよね」
やなぎや「でさ、日浅が姿を消した後も、今野は日浅に教えられた釣りを一人続ける。ベタな考察だけど、釣りを止めれば、日浅との関係が切れてしまうような気がしているんだと思う
リトル「釣り糸が、マクガフィンと」
やなぎや「私、去年は一度もマクガフィンって言ってません!」
リトル「てか、ふっかづめ!ふかづめどこ行ったんだよ!『中半端な映画好きはマクガフィンとかメタファーとかいいがち(わら)』なんて暴言残して、ここ数か月姿を見ないけど、何やってるわけ!?」
やなぎや「どうどう、いきなりキレないで下さい。せめて『さん』つけて。礼儀に煩い青年だから。映画の話に戻って」
リトル「今野が知る日浅と、他人から聞く彼の姿とは全然違うっていう多面性がテーマでもあるわけだけど、『あ、現実でもこういう経験あるな』って思ったわ。日浅見てると、ざわざわするの。そして、『人には裏と表があるんだよ』の言葉の通り、得体の知れない空気で画面を支配する松田龍平のすごさ」
やなぎや「『龍平と翔太どっちが好き?』論て常にあるじゃない。いや、松田翔太はカッコいいよ。でも、役者としては比ぶべくもない。龍平が別格だと思う」
リトル綾野剛もよかったわね」
やなぎや「私は去年、綾野剛の年だった!出てる映画ほとんど見たもん。番宣に出過ぎなのと共演者への気遣いや如才のなさが鼻について好きじゃなかったんだけど、そんな理由で避けたら勿体ないなと反省したよ」


◇『孤狼の血 LEVEL2』

2021年製作/139分/日本
監督:白石和彌 キャスト:松坂桃李鈴木亮平

f:id:yanagiyashujin:20220120170426j:plain

やなぎや「昨年映画館で観た三本のうちの一本。孤狼の血シリーズといい『ヤクザと家族』といい、ヤクザ映画のオープニングを引き継いでいるところに、作品を横断した思いがあっていいよね」
リトル「毛筆フォントの縦書きでキャストが流れていくやつね。さてさて、前作『孤狼の血』と比べてどうだったのかしら」
やなぎや役所広司の不在が大きい』かな。孤狼の血』って、冒頭の取調室のシーンから、うだるような夏の暑さが印象的でさ、汗でテラテラ光る役所広司の肌や太陽を弾くサングラスが、映画全体をギラつかせていたと思うの。一見粗暴な不良刑事に実は冷静な面や人情家の部分があり、そんなキャラが作品を引っ張っていたんだけど、それが消えてしまった」
リトル「血腥さは割増しだったけどね」
やなぎや鈴木亮平の暴虐ぶりがあまりに凄いんで途中から慣れてしまって(笑)。警察の若造対ヤクザの若造の図式になったことで、『どっちがどこまでブッ飛んでるか!?』の競い合いになってしまった。もう半笑いで見守らざるを得なかった」
リトル「分かるわ。あと、滝藤賢一のせい
やなぎや「そうそう!半笑いを爆笑にしたのは完全に滝藤(笑)」
リトル「前作より更に、病的なまでに保身主義の官僚に進化してたね。問題ばかり起こす松坂桃李を『書類、大事なのよ。俺たち、公務員だからさぁ』とギョロ目顔で牽制してくるなど、それでも途中まではシリアスにも受け取れたんだけど、例のシーンのせいで、それすらフリに」
やなぎや「公道を破壊しまくりボッコボコに殴り合って血まみれになった松坂&鈴木のところに到着するや、『お前らなにしてくれちゃってんのー!?』って叫ぶシーンね!」
リトル「『ちゃってんのー?』だったかは忘れたけどw」
やなぎや「いや、いまレノアのCMの滝藤で再生されてる(笑)」
リトル「一番のブチ切れ演技だったわよね。悪の権化の鈴木亮平すら『お前ら』扱いしてる時点で、もはや最強なのは、骨の髄まで染み渡った滝藤の官僚主義じゃない?って」
やなぎや「その後の松坂桃李の行動にも爆笑」
リトル「キレキャラが多くて、結果、コミカルになり過ぎたかしら?ヤクザVS警察の話ではなくなっちゃった」
やなぎや「そういえば、一緒に観ていたリエコは『最後のシーンいらないー』って言ってたけど。多分もう続編作るの決まってて、あそこから呼び戻される・・・ってことこから始まるんだろうな」


◇『ヤクザと家族 The Family』

2021年製作/136分/日本
監督:藤井道人 キャスト:綾野剛舘ひろし

f:id:yanagiyashujin:20220120170504j:plain

リトル「続けてヤクザいきましょー」
やなぎや綾野剛カッコよー!舘ひろしはヤバかったね。ヤクザに全く見えない(笑)」
リトル「あんなヤクザいる!?焼肉屋に入ってくるところ、完全に『スター舘』だったわよ」
やなぎや「『行くとこあんのか』のシーンでもらい泣きしそうに・・・。一番いい場面が最初に来てしまったんで、私的にこの映画のピークは前半の前半だな~。綾野が盃もらって、自分の居場所を見つけて、舘に尽くすところ」
リトル「その分、後半の寂れ具合が悲しすぎた、、、」
やなぎや「この映画の良かったところは題名の通り、完全にヤクザを『家族』として描いたところだよね。例えば他の幹部が綾野に嫉妬して失脚させるとかさ、綾野がのし上がろうとするとか雑音がない」
リトル「そもそも、地方のちっちゃな組っぽかったもんね」
やなぎや「時代の波に乗れなかったヤクザ一家の衰退、残った所帯を何とか守ろうとするものの一番単純で一番バッドな選択をしてしまう・・・そんな悲しいまでの不器用さを中村の兄貴北村有起哉が体現していた」
リトル中村の兄貴せつねぇ~(泣)。でも終盤が一気に雑にならなかった?」
やなぎや「なったね。職場で綾野の過去がバレて紹介してくれた友達にも元恋人にも害が及ぶ・・・ってとこ。いくらSNSの時代とは言え、あんな影響力のなさそうな三下が挙げた一枚の写真が数人の人生を破滅させるわけもなし、ベタな片付け方だった」
リトル「その流れからのあのラストなんで、妙に陳腐だったわ。おかげで脳内逃亡しちゃって、『ROOKIES』の音楽が流れたもん。『お前らの未来は栄光に満ちている』『卒業おめでとう』って」
やなぎや市原隼人な・・・。(脳内逃亡ってなに?)」
リトル「舘さんにしてもキレイすぎじゃない!いいオヤジのまま途中退場しちゃってさ。いや、あんたが家長として無能だったせいでしょ?仁義もいいけど家族を守れやって思ったわ。始まりが良かっただけに、残念だったわぁ」


◇『空白』

2021年製作/107分/日本
監督:吉田恵輔、キャスト:古田新太松坂桃李

f:id:yanagiyashujin:20220120170755j:plain

リトル「わざわざ映画館に観に行ったんだよね」
やなぎや吉田恵輔監督の映画は割と観ていて、犬猿が好き。壮絶な兄弟/姉妹喧嘩の話なんだけど失笑を禁じ得ない『犬猿』に比べれば、『空白』はグッと深刻だった」
リトル「女子中学生がスーパーで万引きを疑われ、店長の青柳松坂桃李に追いかけられた結果、車に轢かれて死んでしまう。父の充古田新太は、真実を知ろうと青柳を追求するうち、持ち前の気性の荒さが災いし、執拗に付き纏うようになる」
やなぎや「また娘が、誰に聞いても『印象にない』と表されてしまうコで」
リトル「真実を知ることが父親の望みなんだけど、喚いても脅しても、真実など出てこないのが残酷だったわ。父親自身も、死ぬまでは彼女に興味なかったのよね、それが自分で気まずい、許せない」
やなぎや「だから最初は、気持ちの決着をつけたいがために罪を問う矛先を探すんだよね。『俺の娘は万引きなんかしない、青柳が誤解して死なせた』が彼が求める『真実』」
リトル「万引きをするコかどうか、判断つかないくらい娘のことを知らなかったくせにね。こうなると、加害者かもしれない松坂より、古田新太の方がよっぽどモンスターでは?ってなるわよね」
やなぎや「『正しい』というワードが意図的に出てくるんだけど、正義を振りかざす寺島しのぶが、象徴的なキャラだったね。正しい正しいっていうけど、正しいってなに?と、観客も分からなくなるし、寺島しのぶも最後にはわかんなくなっちゃう」
リトル「被害者加害者ともに精神が削られ、周囲も巻き込んでグチャグチャに絡まってしまったとき、怨嗟を断ち切るのが、娘を轢いた女性の母親である片岡礼子。ちょこっと出てきては、重要な役を担う女優さんよね。同じ親として、彼女は古田新太には想像もつかない行動を取る。彼女のふるまいと言葉から、映画の方向性がガラリと変わる」
やなぎや片岡礼子はすごかったね~。あそこで、ぴしゃんと頬を叩かれた気がして、やっと息がつけたもん(笑)」
リトル「私はもう、寺島しのぶの演じるおばさんが怖すぎた(笑)。あと、唯一正気を保ってくれていた藤原季節が良かったわー」

 

やなぎや「長くなりそうなので一旦切ります。To Be Continued...」
リトル「更新回数を稼ごうってハラね。雑談が多いのよ」
やなぎや「誰のせいさ」
リトル「にしても、ゴツすぎダークすぎ!ラインナップが」
やなぎや「確かに・・・。ブログのゴツ臭を拭うべく去年は恋愛映画も観ようとしていたんだけど、いつの間にやら、こんなことに」
リトル「続きはホワイトな感じでいきましょ。ファッションや恋愛、キッズに動物、スイーツにママ友の話なんかがいいわね!」
やなぎや「いや、ママ友はダークサイドでしょ・・・。では、皆の衆、また来週!(多分)」
リトル「また隠踏もうとしてる」