Yayga!

イェイガ!(Yay!+映画)- 叫びたくなるような映画への思いを書き殴ります

『ライフ』

f:id:yanagiyashujin:20210210170418j:plain

監督:ダニエル・エスピノーサ キャスト:ジェイク・ギレンホールレベッカ・ファーガソンライアン・レイノルズ/2017年

皆さん、こんにゃちは。

子供らの間ではまだまだ鬼滅が熱いわけで、近所の姉妹は毎日揃って鬼滅柄のマスクをしてます。うちの子供はそこまで鬼滅にハマっていないのですが、その姉妹と仲が良いため影響され、あの金髪の、映画の主役になったライオンみたいな、ホラ、穴があったら入りたい的な、ホントにド忘れしたんだけど、あの男の台詞「不甲斐なし!」をしょっちゅう叫んでいるわけ。

私も仲間に入ろうと思っ「ふがいなしふがいなし、ふがしはおかし。ナナナナー、ナナナナー」(ジョイマン)と踊ってみせたりしているのですが、子らはジョイマンを知らないらしく、娘に冷たい目線を向けられています。優しい子なのに・・・。ヨハン、素敵な名前なのに。ヤバイ、ちょっと在宅勤務が続きすぎて頭がおかしくなってるわ。相変わらず調子の出ない私をどうぞよろしくお願いします。

今日は子供たちの「わくわくする映画が観たい」のリクエストを受けて一緒に観た『ライフ』を紹介します。ベン・スティラー監督のやつじゃなくて、私のジェイクが出ている方よ。完全ネタバレですから、お気をつけあそばして。


◇あらすじ

国際宇宙ステーションISS)に滞在する六人の宇宙飛行士は、火星探査機の回収に成功し、探査機が持ち帰った土から生命体の細胞を採取する。初の地球外生命体の発見に喜ぶクルー達だったが、やがてその生命体は成長し、彼らを襲い始める。

これを観た次の日、LiLiCoがTVで「あっと驚くドンデン返し」映画として紹介していました。うーむ・・・ドンデン返しと言えばそうなんだろうけど、あのラストってもう少し別の意味があって、そして醍醐味は別にドンデン返しではないと思うのよ(リリコの映画紹介は好きだよ)。

監督はダニエル・エスピノーサチャイルド44 森に消えた子供たち(2015)がガッカリな出来だったこと以外知らん、すまん。脚本はデッドプール(2016)のレット・リース&ポール・ワーニックが担当し、同じく『デッドプール』のライアン・レイノルズがクルーの一人として出演しているが、一番先に死んでしまいます。

私のジェイクとして知られるジェイク・ギレンホールは、好んで473日間もISSに滞在し続けている変わり者の医師デビッドを演じた。「80億人のバカがいる地球には戻りたくないから」って考え方がヒネくれてる上に、相変わらずキュートォ。
検疫官ミランダ・ノースに、『ミッション・インポッシブル』シリーズのいくつかに出演しているレベッカ・ファーガソンどのミッションだったかは忘れたけれど、黄色いドレスから片足を剥き出しにしてライフル構える姿がカッコよかったよね。私は断然、ミシェル・モナハンよりレベッカ派だよ。

しかし、今回見るべき俳優は何といっても、「ショウ ムラカミ」という語呂のいい名の日本人システムエンジニアを演じた我らがHiroyuki Sanadaである!女のせいで日本からハリウッドに行ったのかと思ってたら、ちゃんと活躍していて、ヨカッタヨカッタ。

うちの子供たちは、Hiroyuki Sanadaが一番のお気に入りで、「この人好き!死なない?ねえ、死なない?」と何度も確認してくるの。ククク、死ぬで。Hiroyuki Sanadaが生命体に追っかけられるトコとか「ダメ!」「逃げて!」とすごい騒ぎだったで。
自分も覚えがある事なんだけど、この頃の映画の見方って、お気に入りのキャラ見つけてその人を応援する・・・なんだよね。不思議だわぁ。

 

f:id:yanagiyashujin:20210210171840j:plain


◇カルビン、コワかわ

生命体の発見は地球でも一大ニュースとなり、ある小学生によって「カルビン」と名付けられる。ちょっとだけ育ったカルビンはひらひらと動く様がまるで妖精のように美しく、宇宙生物学者ヒュー(アリヨン・バカレ)の指にじゃれついたりして、アリヨンはカルビンの養育にすっかりのめり込む。しかしカルビンはかわいい名前に反し、少しずつ不穏な形になっていく(アリヨンって響きもちょっとカワイイ)。ガーッ!ってくる形よねソレ。私の経験上、そういう形の善意の生物はいない。点検ミスによる圧力の変化でカルビンの動きが停止してしまい、アリヨンが蘇生させようと行った電気ショックが悲劇の始まりであった。

さて、見どころは何と言っても「無重力」を活かした映像である。クルーを追うカメラの動きは浮遊感があって心地よく、カルビンから逃げるときのスピード感の演出も良かったが、それ以上に重力空間とは異なる現象、液体の表現にこだわっているのがクールだった。もっと分かりやすく言うと、んー、なんだろう、「汁気」を映さなかったこと?

カルビンは、宇宙で襲ってくることでお馴染みのアイツのように、移動した後にネトネトした粘液を残したりヨダレを垂らしたり、傷口からヘンな液体を漏らしたりしない。獲物の動脈を掻っ切って血を飛ばしたりもしない。

最初の犠牲者デッドプールの死のシーンは是非見てもらいたい。カルビンがデッドプールの口から侵入したとき、多くの観客が腹を割いてピンぎゃーーー!!と血まみれで飛び出してくることを予測し期待したはず。しかし実際にはそのような派手な表現はなく、デッドプールの口からゴポッゴポッと吐き出された血が水玉のように無重力空間に浮かび、死体とともにゆらゆら漂う。血飛沫を飛ばしてみせれば観る側の恐怖感も増すし生命体の残虐性も一発で印象付けられるが、敢えてそうせず、これから起こる絶望的な出来事を予感させつつ映像美に徹した点で、数多のバケモノ退治アクション映画と一線を画したのではないかと思う。

進化と共に出来上がってくるカルビンの顔は、不気味ではあるのだが、その造形が妙にキレイで、致命的なものだと分かっていても目を離せなくなる魅力がある(もっとも最後はタコなんだけどさ)。


◇バカが住む地球と崇高な宇宙

ISS内の人間関係に雑音がないのもイイ感じだ。触わるなと言う機器に触わるバカもいなければ、隊列から離れて小便に行くバカもいない。バケモノに追いかけ回される中でドアをロックして仲間を生贄にしその隙に逃げる小賢しい奴も、カルビンをサンプルとして地球に持ち帰る極秘ミッションを遂行する奴もいないんだ!

ある程度のところで、ジェイクとレベッカを残して皆死んでしまうのだが、この死にはドラマ以上の意味がある。つまり、ジェイクの「80億人のバカがいる地球」と言う言葉の通り、宇宙から見た地球は俗で鬱陶しい場所であり、宇宙で任務のため散った彼らは崇高な精神を持つ存在なのである。

え?考えすぎだって?いやいや、だってさ。クルーたちは順番に、仲間を守るために死んでゆくのよ。デッドプールは気絶したアリヨンを助けようとして、司令官オルガ・ディホヴィチナヤはカルビンをステーション内に入れないために、自らの身を犠牲にする。そしてHiroyuki Sanadaも、生まれたばかりの子の写真を手に絶対に帰ると誓いながら、ジェイクとレベッカを巻き添えにしないよう彼らの手を振りほどき、宇宙へと消えて行くのである・・・。

さらにレベッカが辿る運命。地球のバカどもから、危険な生命体を乗せたISSを宇宙の彼方へ葬るためのソユーズが送られてくる。いざという時はクルーごと犠牲にするこの提案をしていたのは実はレベッカで、そのレベッカはどうなっただろうか。そう、他の仲間同様身を挺したジェイクによって地球に逃がされたはずが、結局一番孤独で悲惨な死を迎えることになるわけだ。

そして地球に上陸したカルビンは、バカどもを食い尽くしにかかる・・・。

タコに生きながら喰われてるジェイクが悲惨でないかどうかは、この際置いておこう。
是非、アイツに比べて汁気ないなーって視点で観て欲しい。面白いので、お勧めです。

警報:子供向けではありませんでした。

 

引用:(C)2016 CTMG, Inc. All Rights Reserved.