Yayga!

イェイガ!(Yay!+映画)- 叫びたくなるような映画への思いを書き殴ります

『RE:BORN リボーン』

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監督:下村勇二 キャスト:TAK∴(坂口拓)、斎藤工/2017年

 

皆さん、こんにちは~。今日は真剣だから前書きを抜かします。前書きだけ読んで、私が一生懸命書いた本題の映画の感想を読まない人(※弟の嫁)とかねえ、失礼ですよホントに。「お姉さん、前書き面白かったです~」「あ、独立なんとか隊は私ちょっと、、、うふふ」じゃないの。

てか、今日は坂口拓回なんで。坂口拓に興味ない奴は今すぐ帰んな。

嘘です、お願い読んでって。読者登録もやめないで。

 

 

◇じゅんびうんどうだよ!

私も一応それなりに映画を観てきているので、まさか島国の一角でスタッフと出演者は大体身内か友情出演(多分)、アクション大好きな仲間内で撮られた映画が掛けた予算を凌ぐ出来だなんて思っていない。だから失礼な言い方だけど、めちゃくちゃハードル下げて観たっていうか、すみません、フロで観ました。で、結論から言うと、思ったより全然よかった(*´▽`*)
少なくとも、波長が合わない大作話題作『ミッドサマー』などのクソ退屈な映画)より数倍楽しく観られた。

ただ・・・上述の通り「身内で作られた映画」なわけだ。そのため、この映画を観る前にはいくつか把握しておいた方がいいことがある。

<TAK∴= 坂口拓について>
イカれたアクション俳優であることは以前『パッチギ!』の記事で触れたので、その後に入手した情報を紹介するよ!

・職業:現代忍者(ニンニン!)
・ウェイブマスター(※後述)
・すっごいお茶目でいい人、かなり頑固
YouTubeで料理が得意だと言ってカレー作ってたけど、私はあのカレー食べられない(※市販の豚骨スープにカレールーぶちこんでた)
ジョン・ウィック3』のオーディションに呼ばれ、当然英語を求められたが、すべて日本語で押し通した(結果、ご縁なしとなった)
・お嫁さん募集中
NHKの大河への出演を狙っている

 

<ウェイブとは>
肩甲骨を360度回転させることで生み出す体内エネルギーによる波動攻撃、または攻撃をかわす技術のこと。100%出力すると受けた相手は死ぬ。戦闘術・暗殺術のプロ稲川義貴が創始者であり、弟子の坂口拓は師匠以外ではただ一人のウェイブマスター。

『RE:BORN リボーン』のアクションもウェイブが基本なので、知らん人は、坂口拓や敵役が突然中腰になってグーリグリグリ・・・と肩甲骨を回し出す画には戸惑うこと必至。なので、あ、これは普段から彼が世に発信し続けている戦闘技術の構えなんだなとご理解頂ければ思います。もし、あなたがこの映画を観るなら。私は勧めていないけど、もし観るならば。

それから、この映画の主人公は弾丸を避けられます。そこんとこ、よろしく。
じゃあ、本題に行ってみよー!ニンニン!

 

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坂口拓の貌は、ハリウッドの好む綺麗なアジア人の顔だしキアヌと闘っても見劣りしないと思う。キアヌの方が、ウェイブに興味持って弟子入りしてきそう。。
 

 

◇あらすじ

かつて最強の傭兵部隊に所属しながら、特殊訓練の最中に自らの手で部隊を壊滅させてしまった敏郎。現在は石川県加賀市のコンビニで働きながら、少女サチとひっそり暮らしていた。そんなある日、町で不可解な殺人事件が起きる。それは、敏郎が壊滅させた部隊の指揮官ファントムが発した、敏郎への警告だった。(映画.com)

日本で傭兵部隊って・・・。ねえ?
まあ、要はだね、世界の紛争地帯で暗躍する特殊部隊があって、過去坂口拓(以下拓ちゃん)は部隊に所属する伝説の暗殺者であったと。ただ、そこのボス(なぜかスネークこと大塚明夫)が子供たちを洗脳し戦士に仕立て上げていることを知り隊を離脱、そのとき救い出した一人の少女を育てているが、部隊からは裏切り者として追われているっと。以上!物語はこれ以上でも以下でもない。

出演者は割りと豪華。既述の大塚明夫は、『METAL GEAR SOLID』のスネークそのまんまのスタイルで出ているので流すとして(?)、そう、斎藤工。昔、拓ちゃん演じる敏郎を庇ったために視力を失うが、それでも彼を慕い続ける盟友として工が出てるよ。やっぱりねえ、安心感ある!ちゃんとしてる。
これが映画初出演となるサチ役の近藤結良ちゃんは愛らしくていい子役だと思った。

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過去に傷を持つ男と少女の、ささやかで幸福な生活を送る様子がベッタベタに描かれた後、大塚明夫が襲撃を仕掛けてくるあたりから物語は展開を見せる・・・。

 

◇刺客その一、ロック:いしだ壱成

予想通りのベッタベタ具合を生ぬるい視線で観ていたが、観光地のど真ん中で殺意を感じた拓ちゃんが、人波越しにいしだ壱成を見とめるところから始まるシーケンスは面白かった。周囲の誰も気づかぬうちに行われた勝負は数秒、それを表現したテンポのよい編集が良い。

拓ちゃんは背後から銃を突きつけた別の刺客の首を捻って銃を奪い、いしだ壱成の方へ歩みながら鮮やかに銃を分解する。弾倉から指で一つずつ弾き出された銃弾は、道行く人々が知らずに蹴り飛ばしていく。いしだ壱成が発砲した弾は避けられて通行人のバッグに当たり、だが人々は何がぶつかったのだろう?と首を傾げるのみ。三発の銃弾で標的を倒せなかったいしだ壱成は、拓ちゃんが弾の代わりに撃ち出したペンで首を貫かれて絶命する・・・。

 

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特別出演のいしだ壱成さん。

 


◇刺客その二、ニュート:篠田麻里子

麻里子様の登場シーンでは、カメラはまずミニスカからすらりと伸びる美脚を捉え、徐々に上へ上がっていく。一度目の襲撃場面とは打って変わり、場所は人気のない夜の電話ボックス。サチに帰りが遅くなることを伝える拓ちゃんを、麻里子様がナイフで襲う。ここで、麻里子様の足越しに移る電話ボックスと、麻里子様が片方ずつヒールを脱ぎ捨てていくのはカッコよかった。激しく揉み合った後、電話のコードを麻里子様の首に巻き付けた拓ちゃんは、サチに「ごめんな、しばらく帰れないかもしれない」と話しながら、麻里子様の手にあるナイフでそのまま彼女の喉を切り裂く。

それにしても、麻里子様は電話ボックスの天井やらガラスに結構激しく打ち付けられていたが、大丈夫だったんだろうか。でも、本人こういうの好きそうよね。

あと、この後に店で弁当をレンチンしているときに襲われて、倒した瞬間に「チーン!」って温めが終わるところと割り箸での反撃は面白かった。普段から拓ちゃんが宣言している「手近なもので敵は倒せる」ってやつね(日常で敵を倒す機会はそういないと思うが)。

 

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特別出演の麻里子様。

 

 

◇ウェイブ発動、そして監督求ム

この襲撃二連発で「あれ、面白いじゃない」と思ったわけだが、サチが大塚明夫に攫われ、一個小隊だの一個中隊だのが厳重に警備を固める森に仲間とともに乗り込んでいく当たりから、拓ちゃん&下村監督のやりたいことが悪い意味で炸裂。満を持してウェイブを撮るぜとばかりに、襲いかかって来る兵士をウェイブで倒しまくる。

主要人物は身内からキャスティングしている。見た目は子供だが凄腕の刺客キャスパーを演じているのは、拓ちゃんの一番弟子であるアクション女優。また、拓ちゃんを背後から不気味につけ狙う男は、かつて傭兵部隊時代に切磋琢磨した拓ちゃんのライバルかつ友人であり、そのため何も言わず姿を消した拓ちゃんに並々ならぬ執着心と敵愾心を抱いている(人物描写はほぼないので、代わりに補足しています)。この役を演じたのがウェイブの師匠の稲川義貴でさ・・・。

この人、役者じゃないからねぇ。出てきて喋った瞬間から「ん?」ってなる。ただ、ほら、ラスボスの大塚明夫の前に、一人強敵と戦うのがストーリー上の定石なわけで、そこで拓ちゃんとしては本気ウェイブで見せ場を作りたいわけで、そうすると同等に闘えるのって師匠だけじゃんっていう。ウェイブありきのキャスティグ。

森での戦闘シーンはやや長いものの、まだアクションを楽しむことができるのだが、サチが監禁されている建物に辿り着き、師匠との一騎討ちとなる場面はつらい。二人はウェイブ発動のために互いに中腰で肩甲骨をグーリグリグリと回しながら、たまにちょい、ちょい、と手を出し合う。なんだこの時間・・・。流石の私も「なんだこれ」と思った。擁護しきれないよ拓ちゃんを。師匠出すなよ、ド素人だから。師匠のせいで、間延びしてるしド退屈だよ。そんなふうに思われて師匠もかわいそうじゃんか。

そんな死んだ空間が1時間ほど続き(やなぎや体感時間/実際は5分ほど)、やっと師匠をぶっ飛ばすと、今度はスネークとの勝負が待っているのだが、ここもまあ取り立てて語るべきこともなし。襲撃シーンと森での戦闘に迫力があっただけに、尻すぼみ感が何とも残念。要は、ちゃんとした脚本家と、アクション監督じゃない監督が必要!多分、それでぐっと良くなる。

 

 

◇ただ、聞いてください

「身内で作られた映画」ではあるのだけど、決して「坂口拓のファン、ウェイブを否定しない人だけに向けた内輪映画」ではない(そこまで器の小さい人ではないと思う)。多分、拓ちゃんの目的は「本当のアクション」を世に啓蒙することなのだと思う。NHKの大河を狙っているなんて話も、役柄に自分を合わせる気はさらさらなく、むしろ自分のアクション啓蒙が成功し認められた上で、三顧の礼を以て迎えられたい、そんなマインドなのじゃないかな。だから、『ジョン・ウィック3』のオーディションも日本語で貫き通されたのだろうね・・・(自分が欲しいなら、そっちが字幕付ければいいじゃんとか思ってそう)。

熱く語っておいてアレだけど、私はアクションにそれほど興味ないし、ウェイブが如何にすごいのかの判断はつきません。

師匠完全にいらねぇってミスを除けば、作り手の熱意は伝わってくる映画だった。拓ちゃんの熱意は言わずもがな、監督の下村勇二は、ホンットに拓ちゃんのことが好きなんだろうなって感じね(でもアクション専門じゃない監督求ム)。私的には『ミッドサマー』より全然楽しめたよ。誰か『狂武蔵』観に行って感想教えてくれよ。じゃあ、またね。ニンニン!

 

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引用:公式サイトhttp://udenflameworks.com/reborn/

『独立愚連隊西へ』

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監督:岡本喜八 キャスト:佐藤允加山雄三/1960年

 

皆さん、大変です。

このブログの過去記事でちらりと取り上げた坂口拓(現在TAK∴)の77分ワンシーン・ワンカット撮影、おっぽり出して忍者になったため未完成だった『狂武蔵』が完成していたことを知っていましたか!
なんと山崎賢人まで出演している。『キングダム』のときに口説かれたんやろなぁ。さらに原案協力に園子温の名もあり、多分これ周囲の人の優しさで完成してるんだろうと思ったね。坂口拓って、人柄、超カワイイもん。昔YouTubeのチャンネル観たことあるけど、みんな好きになるよ、この人。ちなみにチャンネルの名前は「たくちゃんねる」だよ。

あと、現在の俳優名の「TAK∴」ってなんて読むんだろう。「タクさんカッケー」?「タクみつどもえ」? 誰か教えてください。

さて、本日は『独立愚連隊西へ』です。お待たせしましたよね本当に。やっぱり『独立愚連隊』の次は『独立愚連隊西へ』だよねって、皆も気になっていたでしょう、そうでしょう。前回『独立愚連隊』で全滅した独立愚連隊が、今度は西へ行くってよ。どういうこと?

 

 

◇あらすじ

またしても北支戦線。歩兵第四六三連隊は八路軍の攻撃を受けて玉砕し、軍旗は一人戦場を脱出した北原少尉とともに行方不明となっていた。軍旗捜索を命じられた大江大尉は、危険なこの任務に、左文字小隊を派遣する。この小隊こそ、今回の「独立愚連隊」であるッ!

 

前作との繋がりは、なんとありません。

「消えた軍旗の捜索」により時間が割かれ、敵から守り通した頃にはボロキレとなり佐藤允の腹に巻かれている(そして汗臭い)なんてオチからも、シリーズの根底に流れる反戦の精神をしっかりと継いでいるわけだが、まあ、いい加減飽きたよな・・・反戦の精神も。流石の私も飽きたよ。ただ、この軍旗を巡って、爽やかでニヤっとしてしまうような場面も多く。

さて、舞台はしつこく中国戦線。物語は至極単純だが、前作の俳優の多くが別の人物として出演している点が、何よりもややこしい。

佐藤允:大久保元軍曹 → 愚連隊のナンバーツー戸川軍曹
中谷一郎:石井軍曹 → ピー屋のオヤジ早川
中丸忠雄:藤岡中尉 → 八路軍のスパイ金山中尉
堺左千夫:万年一等兵 → そろばんで隊の運命を占う神谷一等兵
江原達怡:中村兵長 → 小峰衛生兵
(左が『独立愚連隊』、右が『独立愚連隊西へ』ね)

 

もうよく分からない。同じ俳優を起用するのに特に意図はなく、ただ喜八っつぁんに同じ俳優を起用する癖があるだけなんだろうね。二作を続けて観た上に最近記憶力が落ちている私は、「えーっと、コイツは味方なんだっけ」「こいつのアイテムはサイコロだっけ、そろばんだっけ」と混乱することしきり。

これだけなら変わり映えしないところ、愚連隊=左文字小隊の左文字少尉を演じた加山雄三が凛々しかった~。これが初主演作だそうです。誤嚥は大丈夫でしたか。

加山雄三の豪胆で実直な理想の軍人っぷりと、その少し後ろで「はい」だか「へえ」だが区別のつかない返答をしながら丁稚のごとく付き従う佐藤允とのバディ感が絶妙。前作では危険を察知すると手の平に汗をかくという謎の超能力を持っていた佐藤は、本作では戦場で女の臭いを嗅ぎ分けるというアホな鼻の持ち主である。この二人を先頭に一行が飄々と荒野を行く画には、それだけで幸福感がある。愚連隊のアウトロー感がいや増し、さらに隊のマスコット的キャラであるそろばん占いの神谷一等兵が、物語をコミカルに、そしてリズミカルに盛り上げていく。

・・・そういえば、前回更新通知をTwitterに上げたら、エゴサをされているのだろう佐藤允のご子息から「いいね」をもらったけれど、お父様を潰れたカニだの丁稚だのアホの鼻だの言ってすみません。

映画は軽快な歌と共に始まる。作詞岡本喜八、作曲佐藤勝、歌い手加山雄三佐藤允というもので、歌詞は↓こんな感じ。

 

イー・リャン・サン・スー、 イー・リャン・サン・スー♪
今度は何処だ~♪ 西か東か南か北か
何処へ行ってもハナツマミ ウェイ!

 

軽快とも能天気ともつかない音楽と共に霧の中から現れた愚連隊は、まだ軍旗捜索を命じられるとは知らず当てもなく行進している。佐藤が八路軍の女兵士たちの匂いを嗅ぎつけ、数か月女にご無沙汰の一行は嬉々として彼女達の尻を追いかけるのだが、気が付けば背後から八路軍の大軍に追われている。最後は全員が力尽きて地に倒れ、八路軍と愚連隊は互いに白旗を立てて軍使を送り出す。ここで八路軍の指揮官として登場するのがフランキー堺

フランキーが厳めしく作っていた顔をニカーッと崩すと、加山雄三も表情を緩ませる。

 

「なんなの、君たち、エライ足が速いけどマラソンでもやってた?」
「マラソンはやってないけど、ラグビーやっててさ」
「へぇ、俺は砲丸投げだけど、今のでマラソンも得意になったよ、ガハハ」

 

牧歌的な会話をかわした後、互いにビシッとした表情を戻り、(今日はお互いマラソンをして疲れているので)再び相見えたときこそ正々堂々戦うことを約束し休戦する。
このシーンとこれを布石にした後のシーンが良くてだね。

終盤、行方不明になっていた北原少尉を発見し軍旗を取り戻した愚連隊は、その最中にムードメーカーであったそろばんの神谷を失ってしまう。消沈する一行は八路軍の大軍と出くわし、絶対絶命のピンチを迎えるのだが、その相手は先日休戦をしたフランキー堺の隊だった。

フランキーは軍旗を渡すよう要求、ここまでかと唇を噛む加山雄三の前で、八路軍のスパイとして愚連隊に入り込んでいた中丸忠雄はフランキーに「あいつらは旗を焼いてしまって、もうないぞ」と嘘の報告し、加山にウィンクをして寄越す。中谷一郎は、保護していた中国人の孤児の少年をフランキーに託し、一行は戦闘開始のためその場を離れるのだが、少年は暴れてフランキーの手を振り払い中谷の元に走って来る。

テッテケテッテッテーと小道を走ってくる小僧がとてもかわいく、小僧を代表とする愚連隊と八路軍の間を行き来する人々、その人々によって運ばれる希望や人間らしさといったものが、愚連隊と八路軍対峙のシーンで爽やかに描かれる。

まるで、それを祝うかのように、フランキーは大声で部下たちに号令を下し、何十もの銃が愚連隊ではなく空に向けて発砲される。応じた愚連隊も空に向けて銃を撃ち、両者はまたしても銃口を向け合うことなく別れていく・・・。

今作が素晴らしいのは、こういった敵国との交流・・・なんて言ってしまうと固すぎるような、「彼らも人間だよね」といったシンプルな事実が観客に無理なく入ってくること。戦場の一角で交わされる敵味方を超えた男同士の友情、軍を捨てて中国の女と生きることを選んだ少尉、愚連隊の軍規違反を見逃す大尉のエピソードなどを、ドラマティックに仕立てるのではなくて、さらりと表現しているところが、劇中で描かれる事実同様に粋なのだ。

で、やっぱり、佐藤允がいいんだよね~。どんな困難でも「ちっくしょう」の言葉ひとつで受け止めてしまう潰れたカニのような・・・じゃなかった不敵な面構えが最高。

『日本のいちばん長い日』などの名作もあるが、私はこれまで観た喜八作品の中で、この映画が一番好き。


さてさて、『狂武蔵』はまだ上映しているのかな・・・。あら、イオンシネマ板橋で20時50分からやるから、ちょっと観てこようかしら。チャオ。

『独立愚連隊』

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監督:岡本喜八 キャスト:佐藤允中谷一郎/1959年

皆さん、ど~も~。

今年度も残り半分となったこの時期に、小学校のクラスでPTAの役員と係決めが行われました。もう今年は流すものと思ってたよ・・・。

一年生の係決めのとき、知り合いもいなければ勝手も分からない私は、きゃあきゃあと黒板に名前を書くママたちを尻目に「あたいは最後、残ったところに名前書くけん」と動かざること侍の如しの姿勢を取っていた。そして、担当になったのは「環境美化係」。

環境を美化する係。聞こえはいいが仕事はたった一つ、校内の草むしりです。いや、「むしる」などと生易しいものではない。実施は9月と3月、特に9月は残暑厳しい上に、運動会に来場する保護者の目を意識する先生たちのチェックも厳しい。当日は、長そで長ズボン、タオルと帽子、水分必須。そして、一人一つ、鎌を渡される。

何だかよく分からない暗がりの草むら。澱んだ水の溜まった側溝の中で、引っこ抜いたらいいのか刈ったらいいのか分からないほどにワサワサと高く生えた外来植物。飛び出してくるミミズに蚊。降り注ぐ灼熱の陽光。
しかもママたちときたら存外に真面目で、私は「わあ、綺麗になったね!」と五分おきに終わろうアピールしたのに、結局二時間半やっていたね。

娘が三年生の今年、知り合いのママたちに「白衣点検係が楽だよ」と教えてもらった。何やるんだか知らないけど、楽ならそれがいい。いざ係決めとなり、他のママたちを張り手で押しのけて黒板に辿りついた私は無事、白衣点検係に記名。もう一人が加わって二名の定員をオーバーすることなく、楽な係をゲットしたのだった・・・。

と思ったら、PTAの人が紙を取り出し、「本日、○○さんが出産間近ということで欠席されています。できれば『白衣点検係』をやりたいと希望しているのですが・・・」。

なぁにィ!?出産間近なら、係免除してやれやぁ。

もう一人のママを見ると、正面を見つめて動かざること侍の如き姿勢を取っていた。仕方ないので、「じゃあ、私移るわー」と手を挙げ、行きついた先は・・・。

環境美化係ッ。イェイイェイ、今年も草を刈りッ。

長くなってしまいましたが、本日は『独立愚連隊』です。

 


◇あらすじ

太平洋戦争末期の北支戦線。将軍廟という町に荒木と名乗る従軍記者が現れた。彼は大久保という見習士官の死に興味を抱き、彼の最期の場所である独立第九〇小哨、通称「独立愚連隊」を訪ねる。

 

太平洋戦争末期、1944年の北支戦線。「こだま隊」の駐留する将軍廟に一人の兵士がやってくる。この隊では、ある下士官が謎の死を遂げており・・・ってどこかで聞いた気がすると思ったら、以前本ブログで取り上げた血と砂にシチュエーションや展開がそっくりだった(こちらもシリーズの一つとして位置付けられているらしい)。

 

yanagiyashujin.hatenablog.com

 

また本作は、次作『独立愚連隊西へ』(1960)とで役者がダダ被っており、そのくせ二つに関連性は一切ない。なぜ、喜八っつぁんはこうもそっくりな設定の作品を重ねて撮ったのでしょーか?

一つに、コミカルさやアクションの娯楽性を前面に打ち出しつつも、そこに上手く流し込まれた戦争への皮肉な視線が『独立愚連隊』シリーズの特徴であり魅力だが、どうやら一作目の『独立愚連隊』では、それがうまく観客に伝わらなかったことが原因のようだ。

公開時には、ラストの八路軍との派手な交戦を指して、大量虐殺、好戦的との批判を受けた。これを受けて続編の『独立愚連隊西へ』が製作され、以降『砂と血』に帰結するまで何だか沢山作られたわけだが、共通しているのは、軍国主義の慣習や柵を、無頼漢たちが悠々とコケにしていく爽快なさまである。一方で、彼らも軍人たる自分の仁義に命を捧げて戦場に散っていく・・・と、ここが大事。だからこそ、悲劇的な幕引きであっても、妙に爽やかな後味を残るのだ。

岡本喜八始め、当時の映画人は多くが戦争を経験していたわけで、まだ戦争は日常の中にあったからこそ繰り返し撮らずにはいられなかったってことなんだろうねえ。唐突な例えを出すけれど、モネが季節や時間を変えて様々な『積みわら』の表情を描いたように、喜八っつぁんにとっての『積みわら』が、自身が経験した戦争であり中国戦線だということかもしれないよ。

 


◇本題に入っていきます。

さて、『血と砂』では、潰れたカニのような顔で、炊事係兼お笑い担当として終始わあわあ騒いでいた佐藤允が本作の主人公。若さと愛らしさが弾けており、佐藤允の不敵な笑顔を観るだけでも鑑賞の価値があると言える。

ストーリーはね、もう言ったけど大枠は『血と砂』とそっくり。八路軍に包囲され、軍旗を守りつつ後退するタイミングを窺っている児玉隊の駐留地へ、各戦地を転々としているという佐藤允がぶらりとやって来る。従軍記者を名乗る佐藤は、優れた射撃の腕といい肝の据わり方といい記者にしては異質の男で、それもそのはず、実は隊で謎の死を遂げた大久保見習士官の兄であり、弟の死の真相を探るため北京からこの地を訪れた元軍曹だった。弟がクセ者の寄せ集め「独立愚連隊」に所属していたことを知った佐藤は、八路軍の包囲網真っ只中にある愚連隊を目指す。ここに、以前彼と夫婦の約束を交わした雪村いづみ演じる売春婦やら、馬賊の集団やらが絡み、様々な人間模様が描かれていく。

西部劇へのオマージュに溢れると言われているが、私にはいまいち、どこに西部劇色があるのかはわからず。無法者と対決するどころか、無法者とばかりウマが合ってしまう主人公に、敵側の中国人もいい奴ばかり。何より、西部劇のラストって、主人公は一人荒野に消えていくものではない?佐藤允馬賊の仲間になって去ってくからね。

昼寝をしていた佐藤允が起き上がり、崖下の馬の背に飛び乗る、生き生きとしたアバンタイトルは、スピルバーグインディ・ジョーンズ 最後の聖戦』(1989)のリバー・フェニックスが馬に飛び乗ろうとして失敗するシーンにて再現したとか、しなかったとか。

 

ようやく愚連隊の下に辿り着いた佐藤は、哨長の石井軍曹中谷一郎が弟の死に関係しているのではと疑うが、中谷の豪放磊落さ、隊員たちの結びつきに惹かれてゆく。彼らと行動を共にするうち、児玉隊副官の藤岡中尉中丸忠雄らが不正に金品を搾取していたことを突き止める。

という感じなのだが、まあ話の中身よりも、佐藤の死地を潜ってきたがゆえの太々しい面構えと、愚連隊の連中の緊張感のない様子が見所である。特に中谷一郎は、本作にて見出されて以降、喜八映画の常連となり、私生活では岡本さんちの敷地内に居候させてもらうまでの仲であったらしい。

あ、あれよ、初代「風車の弥七」よ。風車の弥七」って聞くと、私はぱっとこの人の弥七が思い浮かぶんだけどね(わたしだけ・・・?)。

特筆しておきたいのが、登場する中国人や朝鮮人馬賊八路軍、農民等)は全て日本人に演じさせているのだが、その、喋り言葉から濁点を取りちょっとなまってみせる、という強引かつシンプルな方法。中でも雪村いづみ慰安婦仲間、中北千枝子のキャラは無視できない。「なんだよ」は「なんたよ~」、「バカだな」は「パカだな~」などに変換し、朝鮮人役を押し切る。

本作は「中国人を悪く書いている」という理由でも批判されたようだが、これらの省エネ的外国人演技が批判されたのだろうか?ちなみに続編『独立愚連隊西へ』では、フランキー堺八路軍の指揮官を演じさせるなど更にパワーアップ。他にも神聖な軍旗を佐藤允の腹に巻かせるなど、不謹慎警察が悲鳴を上げそうなことを堂々行っているのがまた爽快だ。

そして、当時スターであった三船敏郎鶴田浩二の扱いがこれまたスゴイ。『血と砂』ではあんなにカッコよかった三船敏郎は、本作では神経症を患った上に崖から落ち、完全に頭がおかしくなってしまったかわいそうな大隊長役。早々に後方と下げられてしまうのだが、三船敏郎である必要があったのだろーか?

唯一の登場シーンでは、売春婦の二人がお喋りしながら洗濯をしている後ろで、「敵襲~、てきしゅうぅぅ~!!」とまなこをひん剥いて走り回り、二人を指して「バカ!バカ!この非常事態になにを洗濯などしておるか~!」と渾身の気違い演技を披露(しかも飯を食って腹がくちくなった時だけ正気に戻るというアホキャラ)。

そんな三船に「またたよ、きのとくたなあ〜」(まただよ、気の毒だなあ)と憐憫の目を向ける、中北千枝子の絶妙な舌足らず演技が光る・・・!

鶴田浩二は一体いつ出てくるのかしら?と観ていたら、よく分からないが馬賊の親玉として登場、この馬賊自体、本作に必要だったのかが分らんかった。。。

愚連隊は、軍規や常識に囚われない破天荒な連中の集まりだが、彼らには彼らなりの信義がある。八路軍の迫る将軍廟で警備を続行せよとの無茶な命令を残して本隊は退却してしまうが、「命令は無視できない」と軍人の矜持を貫こうとする。結局は愚連隊らしく、「やっつけろとは言われてないもんね~」と隠れて八路軍をやり過ごす作戦に出るのだが、皮肉にも無頼漢たちの象徴であった賭け事のサイコロが原因で八路軍に存在がバレ、愚連隊は全滅してしまうのである。

生き残った佐藤允は、鶴田率いる馬賊の仲間になることを決め、彼らと共に去っていく。腐っても日本軍人の集まりであった愚連隊の全滅を機に、一人の日本軍人が日本も日本人であることも捨てる、としたラストに痛烈な戦争批判が見て取れるよなあ。

大変面白かったですが、残念ながら、今回は『血と砂』の仲代達矢に匹敵する萌えキャラはおりませんでした・・・。藤岡中尉の中丸忠雄は、何だろう、お腹が一杯なときに出される大福って感じがして、私には重かったわぁ。

 

バトンは回さないよ。

皆さん、こんにちわ~。今日のは読まなくて大丈夫です、★もいりません。
でも挨拶は欠かさない。礼儀と優しさのかたまり、やなぎやです。

G子になんかヘンなバトンを回されました。
ちょっと前に、お友達のブロガーさんの間で回っているな~っていうのは知っていたけど、なにコレ、すごい面倒、こんちくしょー。

 

 

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そうねぇ、他に書くことあったかしら?


何か書かなきゃいけないとなると、もうなんも浮かんでこない。大体私は天才肌なので、「これ書きたい」と自分が盛り上がらないとダメなのであって、だからPVとか読者増やすなどにも興味ないのであって(むしろ読者が増えたら困るのであって)、べ、別に言い訳じゃないし!わあ読者増えた~とか喜んでないし!

 

ただ、時々感慨深く振り返るのだが、『ミセスGのブログ』を知り「情熱的でクレバーな人だなあ」と憧れた数年後、まさか、その本人に「めんどくせぇ女だな!」とか言うようになるとはね。

 

ではここで、自分が描いたものでないのがアレですが、夫の昔のスケッチブックを見ていたら出てきた絵などを載せていきたいと思います。発表の場がなくて、絵も可哀そうだし。

 

 

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人その一。

 

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人その二。

 

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人その三。

 

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道。

 

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人その四。

 

 

いいですね~。絵が描けるって素晴らしい。
それでは、最後に、子供にせがまれて私が描いたトイ・ストーリーのバズを公開しましょうか。

 

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皆大好き!バズ・ライトイヤー


うわあ、これも絵心あるぅ。

この絵はG子にあげます。名誉なことだぞ。

 良い子の読者のみんなは、どの絵が気に入ったかな?

 

『踊る大捜査線 THE MOVIE』を書こうと思ったが無理だった

小三の娘に「何か面白い映画とかドラマない~?」と言われ、踊る大捜査線のドラマを観せたら、見事にハマッてしまいました。スペシャルドラマ2本と映画まで完走し、「室井さん大好き♡」と騒いでいる。前からちょっとシブ好みで・・・仲良しの友達の間で何かが流行っていても、あまり影響されることもなく、今はシャーロック・ホームズに夢中で図書館に通っているし。流行っているものって、例えば鬼滅の刃ね。すごいの、小学生の鬼滅への熱狂っぷり。

『踊る・・・』は私も久々に観たら、やっぱりすごく面白かったので、踊る大捜査線 THE MOVIEの感想でも書いてみよかー、と思いました。

 

 

◇それで、ふと思い出した

踊る大捜査線』のドラマがやっていた頃、私は大学生で。家庭の事情により私大の二年生の時から、学費は奨学金、交通費始め雑費はバイト代で賄わなければならず、バイトを掛け持ちするハードな毎日を送っていた。
読者の方はご存知の通り、私は今でこそ菩薩のように穏やかな人物だが、当時は人並みにイキった学生だった。特にまあ、学費を自分で稼がなければならなくなったのは父親の事業の失敗と借金が原因だったため、お金の心配のない周囲の連中に比べたら「私は自立してるんやで」みたいなヘンな自尊心と意地があったわけ。

その日も、ようやくバイトを終え、夜11時くらいに自転車で帰っていた。確か、真冬の寒い日だった。すると交番の前で、警官二人に止められた。「ごめんねー、防犯週間でさ、自転車を調べさせてもらってるんだ。協力お願いできるかな?」。イキってはいたが根は超素直な私は、(所轄、所轄だわ。いや所轄っていうか交番勤務のお巡りさんね。ご苦労さまですー)とか考えて、「はい、もちろんです。寒いのに大変ですね」と和やかに応じた。

ところで、この自転車は、昼のバイト先である文房具店の仲間、笹野くんにもらったものだった。先に雇い主の話をすると、ここの店長がクセは強いが男気のある人で、過去には中国人留学生を自宅に下宿させたり、親の借金を息子の元に取り立てに来た金融業者を一喝して追っ払ったりなどの武勇伝を持ち、バイトの学生のことを家族のように気にかけてくれた。私の事情を知ったとき、「学費は俺が払ってやる、返さなくていい」と言われたのが忘れられない。今は年賀状のやり取りのみ、ヤバイ、そろそろ会っておかないと訃報が入るかもしれん。

歯に衣着せない人だったので、合わない子はすぐに辞めたが、一度定着した学生は全員卒業までバイトを続けたし、皆とっても仲が良かった。笹野くんは、私の一年後に入ってくると素直さと献身的な働きぶりでたちまち店長の女房役になり、ほぼ毎日シフトに入っていた。たまにいたでしょ、無理なく懐が深くて、例えば女子の集団の中に一人でいても違和感がなくて、恋愛相談から生理の話まで平気でされてしまうが下心はなく、ちゃんとした彼女がいる男子。

彼も状況を知って何かと気にかけてくれ、私の自転車が壊れたときに、「僕が使っているのでよければ」と譲ってくれたのだ。

 

 

◇話は交番前に戻ります

さて、自転車に跨ったまま、警官から「協力ありがとうね」と言われるのを待っていた私。ところが、二人は何やら無線で話したり書類を繰ったりしている。そしてこちらに向かってきたときには空気は一変し、「はい、アウト。この自転車ねー、盗難届が出てるんだよね」とものすごく高圧的に言われた。

身分証を出せと言われて学生証を出すと、この時間まで何をしていたかなど色々と詰問される。思いもかけないことに怖くなって手も震えてしまい、自転車は友達にもらったこと、その友達は絶対に物を盗むような人ではないということを一所懸命説明した。
二人は全く信じず、「盗難届出てんの、嘘はやめなさい」「大体ちゃんとした学生なら、こんな時間にフラフラしてるのおかしいでしょ」と鼻で笑ってくる。

いくら訴えてもラチが明かない。
で、まあ・・・。あまりに二人の態度が横柄で犯罪者扱いしてくるもので、震えを通り越して、ものすごくムカついてきたわけだ。スッと頭が冷えて心が決まる感じね。

「わかりました、どこかに出頭すればいいんですか?どこですか、何日の何時に行けばいいですか?でも、とりあえず母が帰宅が遅くて心配していると思うので、電話してもいいですか?」と自宅に電話。応じた母に、超デカイ声で言った。

 

「あ、お母さん?ごめんね、心配してたでしょう?今、自転車泥棒に間違われて職質受けてんのよ、そうそうそう、こっちの話も聞かずに完全に犯罪者扱い。ねえ、『踊る大捜査線』でおまわりさんは市民の味方って言ってたけど、全然そうじゃないのねえ!?超~横柄、超~えらそう!こうなったら徹底的にやってくるんで。朝になっても心配しないでね」

 

警官たちはドン引いており、「と、とにかく寒いから交番に入りなさい」と言ってきたので、「結構です、何か盗んじゃうかもしれないじゃないですか、手癖わるいんで!と返したら、「そんなこと言わないで」とか宥めてきやがる!扱いかねたらしい二人は、「じゃあ、その自転車をくれた友達に話を聞けないか」と妥協案を出した。11時半を過ぎていたが、私は笹野くんに電話し、母に話したのと同様に事情を説明、笹野くんは「とにかく今から、そこに行きますんで!」と言ってくれた。

この時点で、警官二人は「アレ、これ多分、違うな・・・」と感じていたと思うのだが、私はイライラしてダンダン足踏みしているし、まあ、あちらも引っ込みがつかなかったのだろうね。やがて笹野くんが、ホテホテホテーと夜道を歩いてきて、私と警官を見ると手を振り、「あ、やなぎやさん、これ、こないだ彼女と旅行行ってきたのでお土産です」と金魚のキーホルダーをくれた。

 

「・・・」。静まりかえる現場。

 

お巡りの一人が咳払いをし、「えーっと、笹野くんね、今話は聞いたけど、もう一度確認してもいいかな」。笹野くんは、自転車は一年前にホームセンターで購入したこと、盗難届が出ている原因は全く思い当たらないことを丁寧に説明し、「でも、確かにホームセンターで僕が防犯登録をしたか、と言われると記憶になくて・・・すみません」と誠実に頭を下げた。
お巡りは頷き、「じゃあ、今回は笹野くんに免じてね、君を信じるので、お咎めなしとしましょう」とか言った。
完全に頭にキていた私は、「はあ?すみませんねー!わたしは信用ならない人物で!盗難届けは、どおなったのでしょおかぁ??」と暴れたが、笹野くんは私を「やなぎやさん、まあまあまあ。どこかで行き違いがあっただけですから」と押しとどめ、夜も遅いからと自宅まで送ってくれたのだった。。。

 

いやあ・・・。笹野くんにはホントにすまなかった。

 

母はいまだに、「あの時の、あーちゃん(私)怖かったわぁ」という。 

ちなみに文房具屋のバイトに対して「夜のバイト」と家族に呼ばれていたレンタルビデオ屋は、今ではとんと見かけなくなった、カーテンの向こうにアダルトコーナーがあるような怪しげなビデオ屋で、バイトの連中も治安が悪かった。私の他は男子三人、それぞれキャラがめっちゃ濃く、特に一人が東大卒のフリーター、パチンコで生計を立てている変わり種で。そのようなことを知ったのも後日、何故なら始めの一か月くらいは、シフトで一緒になっても、ビデオの棚に隠れてこちらに姿を見せないほどの異常な人見知りだったからだ。また、お茶に見せかけた酒をペットボトルに入れてこっそり飲んでいた。二か月目になったら、迷子のキツネリスのように一歩ずつ出てきて、最後は割と仲良かったけど。漢詩について延々語ったり、激烈に頭のいい変態だった。


しかし、『踊る大捜査線』はやっぱりドラマの方が面白いよね。じゃあ、みんな、暑さで倒れるなよ!

『ディア・ハンター』

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監督:マイケル・チミノ キャスト:ロバート・デ・ニーロジョン・カザールクリストファー・ウォーケン/1978年

皆さん、お元気ですか。

私は映画に関して分からないことがあると、映画好きの異常な友人S氏にメールします。人生や恋愛に関する助言は全く期待できませんが、映画については必ず何らか返答はするS氏、名付けて「HEY S氏」。しかし問題は、その精度の低さ。

ゴダールって何が観やすい?」と訊けば、ストリートビューに映ったゴダールを見てくれ」と不鮮明な画像が送られてくる。黒沢清の映画について「ここはどういう意味?」と訊けば、ゴダール観てないと分からないだろうね」と言われる地獄のループ。

「西部劇が観たい気分だからオススメを教えて」と言えば「『カウボーイVSエイリアン』」(ちがう、そうじゃない)。

お勉強モードになった私が「この映画のこのシーンは何かへのオマージュなのかしら?」と高尚な質問をすれば「知らん」。一方で、映画論や技術論をさんざ宣った後、「結局、その映画を好きかどうかだからな」と突如、感情論に振れる。

前提のない話を急に投げてくるなどバグもひどい。

「僕はアメリカを信じるよ」
「真剣に語れば語るほど小っ恥ずかしくなる、それがノーラン」

知らないよ。

先日、「『ディア・ハンター』はS氏的にはどういう評価ですか?」と言ったら、「8連勝!」(←Jリーグ川崎フロンターレについて)と返ってきたのには最高にイラッとした。で、数日後に急に「『ディア・ハンター』を観たのが昔過ぎて覚えてません」と言ってきた。何とかならないか、このポンコツAI。

そういうわけで、本日は『ディア・ハンター』です。

 


◇あらすじ

60年代末、ペンシルバニアの製鋼所で働くマイケル、ニック、スティーブンたちは休日になると鹿狩りを楽しんでいた。やがてマイケルたちは徴兵されベトナムへ。彼らは戦場で捕虜となり、残酷なゲームを強要される。(映画.com)

恥ずかしながら初見でした。
って言葉をよく見るけれど、恥ずかしいのかしら?といつも思う。一見謙虚に思えるけど「映画について一家言を持つ私ですが、そのわたくしがですよ、これを観ていないなんて皆さん意外に思うでしょうが」みたいな自意識が見え隠れしているよね。

私は戦争映画が好きだが、いわゆる名作の史上最大の作戦(1962)鷲は舞いおりた(1976)などは苦手。また、『ディア・ハンター』は父がやたらと好きだったもので何となく避けており・・・あるでしょ、そういうこと。思春期につまらない理由でそっぽ向いて、そのまま機会を失ってしまうこと。最近、たまたま目にして鑑賞したのですが。

 

超いい映画だった~!

 

当時の社会情勢が反映された、べトナム戦争の爪痕濃い内容を想像していたが、蓋を開けてみれば、ペンシルヴァニアの寂れた田舎町を背景に、強い絆で結ばれた若者たちが、やがて戦争によって幸福な生活に終止符を打つことを余儀無くされる切ない物語。そして予想外に観念的。

切れ者で冷静なリーダー、マイクにロバート・デ・ニーロ、彼の親友の心優しい青年ニックにクリストファー・ウォーケン。彼らと共にベトナム行きが決まっている新郎スティーヴンをジョン・サベージ、イキっているが小心者でトラブルメーカーのスタンをジョン・カザール、マイクとニックの想い人リンダをデビューしたばかりのメリル・ストリープが演じた。

監督のマイケル・チミノは、ここで取り上げるまでもなく不運の人として知られる。ダーティハリー2(1973)でイーストウッドに見出されて『サンダーボルト』(1974)の脚本と監督を務め、本作『ディア・ハンター』ではアカデミー作品賞、監督賞など各賞を受賞。しかし次作天国の門(1981)の興行的大失敗で製作元のユナテッド・アーティスツをぶっ潰し、キャリアに事実上の終止符を打った。

今回チミノの名を目にしたとき、私の頭に突然、ヘンなダジャレが浮かんだ。思い出して調べたら、やっぱり「シネマ一刀両断」の『サンダーボルト』が原因だった。

~シネトゥ『サンダーボルト』評より抜粋~

自らメガホンを取るつもりだったイーストウッドは、当時無名のマイケル・チミノの脚本に惚れ込み、眩しそうな顔をしながらチミノに向かってこう言った。

「チミの名は?」

これがイーストウッドなりのギャグとも知らず、馬鹿真面目に「マイケル・チミノです」と答えるチミノ。するとイーストウッドは「あんさん、撮ってみるかい…?」と提案。
「エッ、いいんですかい!?」とハナを垂らして喜んだチミノに「チミの才能を信じてる」と尚もしつこくチミノギャグで返すイーストウッド
「僕なんかに務まるでしょうか?」と言われた際も「マーイケルだろう」とひとつも面白くないギャグで返したイーストウッド

 

・・・。

このせいで、マイケル・チミノと聞くと「まーイケルだろう」と「チミの名は?」が頭の中に木霊する。これは公害です。

 


◇青春映画でした

ロシア移民の青年たちが製鉄所での仕事を終えて行きつけのバーへ雪崩込みジャレ合う中で、その晩は仲間の一人の結婚式であり、直後には三人がベトナムへ出征することが説明されていく。

映画が始まって20分ほどで、観た人が大体「長い」と呆れるウワサの結婚式のシーケンスに突入。荘厳に式が執り行われ、披露宴のパーティになると町中の人が集い、酒を煽ってはロシア民謡に合わせて踊りまくる。

主役の新郎新婦、ウォーケンとメリル・ストリープカップルと、踊りの輪に加わることなく離れた場所からそれを見守るデ・ニーロ。他の男に媚を見せたガールフレンドをジョン・カザールが殴り、場は一時騒然となるものの、立ち上がったガールフレンドは殴られた頬を指してカザールを睨み、シュンとなったカザールは「ごめんよ」と彼女の頬にキスをする・・・。同じ形では二度と訪れることのない彼らの青春が、ぎゅっと凝縮された時間だ。

まあ確かに長いね。踊り終わったと思ったら、まだ踊り出す。

私はガチャガチャしているだけで一向に話の進まない映画は苦手なのだが(ガイ・リッチーシャーロック・ホームズとかキツイ)、長い映画は基本的に嫌いじゃない。そのためか、結婚パーティのシーケンスは苦にならなかった。六人のやり取りをずっと見ていたいなと思わせた時点で、3時間を超えようとチミの勝ち。

朝方にパーティがようやく終わると、新婚のジョン・サベージを除いた五人はそのまま鹿狩りに出かける。

・・・まだ、鹿狩り残ってたのん?
ちょっと前言撤回してもいいかな。「今夜は鹿狩りだ」ってずっと言ってたけど、踊ってたら夜が明けちゃったから、もう行かないのかと思ってたよ。

なげェだろ、さすがに。これから鹿狩りは。あと、『天国の門』って完全版だと216分もあるの!?無理だろそれは。

デ・ニーロは見事な鹿を仕留める。彼らの行く末に、この狩りの獲物は吉と出るのか凶と出るのか・・・。
一転、画面は激しい戦闘シーンへと切り替わり、やがて捕虜になった三人は、デ・ニーロの機転と行動により逃亡に成功するも身体と心に受けた傷は深く、ウォーケンは遂にベトナムから抜け出すことができなかった。

 

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◇ウォーケンの圧倒的ヒロイン感

本作の真のヒロインはクリストファー・ウォーケン。これに尽きる。

ウォーケンはストリープに求婚し、またデ・ニーロも懐にストリープの写真を忍ばせて戦場に向かうのだが、デ・ニーロにとって彼女が、ウォーケンへの愛を仲介する存在であるのは明らかだ。

結婚パーティで、ストリープは、デ・ニーロの目が自分に向けられているものと信じ、はにかんだ視線を彼に返す。だがカメラは、彼女を映すフレーム内に必ずウォーケンを捉えており、その無邪気な所作と全開の笑顔は、ストリープを見ていたはずの観客の目を奪う。言うまでもなく、このカメラはデ・ニーロの視線そのもの。

常は避けるように二人の姿から目を逸らすデ・ニーロが、パーティでは踊る二人を堂々と見つめる。ストリープのことを見ているのだと、他人も自分自身もごまかすことができるからだ。

ウォーケンの華やかさは、表のヒロインであるストリープを凌駕する。
例えば、冒頭、皆でバーに集って『Can't Take My Eyes Off You』を歌い、サビの「I love you, baby」を叫ぶ様子。鹿狩りの場面では、カザールが靴下がないとかあったとか、今度はブーツがないなど騒ぎ、デ・ニーロが彼のいい加減さに耐えかねて口論する間で、礼服からとっくりセーター(※敢えての「とっくりセーター」)へと着替え、モフモフのロシアン帽を被ったり、やっぱり脱いでわしゃわしゃと髪をかき回す。その破壊的な愛らしさ。

『サンダーボルト』でも男同士の執着と情を描いたチミノだったが、同じ空気が『ディア・ハンター』にも流れている。ただ、ウォーケンへの視線は、同性愛という露骨な言葉に押し込めるのを躊躇ってしまうほど控えめであり曖昧で。

曖昧と言えば、キャラクターがはっきりとしている五人に比べ、デ・ニーロの人物は最後まで靄がかっている。直接的でない愛情の表現も然ることながら、カザールが指摘するように一人違うことを考えているようなところがあり、また、戦場で如何に友を故郷に帰すかに注力するさまは、まるで彼自身の望みは二の次であるかのよう。全編を通してデ・ニーロの自我は描かれず、一体彼がどのような人間なのかが浮かび上がってこないのだ。

 


◇目線による会話

言葉ではなく、特定の人物に向ける視線、目線の上下で、デ・ニーロは意志を伝えていく。ストリープを介在したウォーケンへの視線は既に触れた通り、印象的なのはベトナムにウォーケンを連れ戻しに行ったときだ。サイゴンで探し当てたウォーケンは、まるで別人のようになっていた。

「俺が分からないのか」と襟首を掴むも、ゾンビのように無表情なウォーケン。
「俺の名前を言ってみろ」と必死で訴えるデ・ニーロに、ようやく少し反応したウォーケンは呟く。

 

「チミの名は?」

 

だぁぁぁぁーー!
チミの名うるせぇな、ホントに!気が散るわ!

 

何の話だっけ。そうそうそう、見つめ合う視線のレイザー・ビームは億千万って話だったよね。命を賭けてウォーケンを故郷に連れ戻そうとするデ・ニーロは、悪夢の象徴であるロシアン・ルーレットのテーブルで友と向かい合う。
いくら帰ろうと訴えてもウォーケンの表情は動かない。デ・ニーロは祈るように長い時間、目を伏せる。再びウォーケンを見ると、彼の顔に微かに感情らしきものが宿っている。。。

そして、ラストの葬式後の食卓。コーヒーカップはどこだ、スクランブルエッグにトーストでいいか?などの友人たちの会話を背景にして映されるのは、結婚パーティのときとは一転して、まったく合わなくなってしまったデ・ニーロとストリープの目線だ。デ・ニーロが見つめればストリープは目を逸らす。逆にストリープがじっと見つめるときには、彼は異なる方向を向いている。見つめ合う視線のレイザー・ビームは、すれ違う視線になってしまった。

 

結局のところ、デ・ニーロがストリープを介してウォーケンを愛したように、ストリープにとっても、ウォーケンあってのデ・ニーロだったわけだ。

ウォーケンの喪失により、二人の関係も失われてしまうのだろう。皆が『God Bless America』を歌い出すところで画面は暗転し、メインテーマ曲『Cavatina』が流れ出す。なんとも美しい幕引きである。

ようやく観たので父に報告をしようと思うが、まあアイツはこれを「重厚な反戦映画」と捉えているだろうし、壮大な山の風景が出てくれば満足するタイプだから、話は噛み合わないだろうな。

引用:(C)1978 STUDIOCANAL FILMS LTD. All Rights Reserved

『見えない目撃者』

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監督:森淳一 キャスト:吉岡里帆高杉真宙/2019年

皆さん、こにゃんちわ~。

先日近所のスーパーで名前を呼ばれて振り返ると、パパ友のさーちゃんがいました。
会うのはとっても久しぶりで、しかもマスクで顔半分が隠れている状態だったので、「よくわかったね?」と言ったら、さーちゃん「うん、なんとなく」。
家に帰ってハッとしたのだが、そのとき、かぶる人まずいないだろうなというくらい派手な服を着ていて、しかもずっと昔から持ってる服で、これじゃね?と。「あ、あの見覚えある服は、やなぎやさんだ・・・」と。

なんか恥ずかしい、40も過ぎて、そんなふうに認識されるの恥ずかしいよ。

まあ、いいや。本日は『見えない目撃者』をこき下ろします。

巷では、日本映画もやればできるじゃんって言われてるね。知っているけど、間違いなくコレじゃないわ。

 

 

◇あらすじ

警察学校の卒業式の夜、自らの過失で弟を事故死させてしまった浜中なつめ(吉岡里帆。自身も視力を失い、三年後の現在も弟の死を乗り越えられずにいた。ある日、車の接触事故に遭遇したなつめは車中から助けを求める少女の声に気づく。誘拐事件を確信した彼女は、もう一人の目撃者、春馬高杉真宙の協力を得て独自に少女の捜索を開始する。

 

監督は森淳一。よく知らないと思ったが、『リトル・フォレスト 夏・秋(2014)』『リトル・フォレスト 冬・春(2015)』の監督だった。これ、いい映画でさ~。橋本愛が田舎で野菜を育てたり貯蔵したり、一人静かに料理を作って食べる映画なのだけど、その時間の豊かなことと、同時に描かれる挫折や悩みが過剰でなく、料理を邪魔しない、いい塩梅で。途中から、子供たちと一緒に観ました。

まあ、そういうわけで、けなすのは申し訳ない気がするんだけど・・・。
あ、ネタばれです。

 

 

◇超狭小ネット世界

前半一時間、容疑者の土建屋の敷地内から少女四人の遺体が発見されるまでは悪くない。ちょうど健康診断が終わって休んでいるときに観たんだけど、周りが気にならないくらい夢中になってしまった(つまり必要以上に休憩を取った)。

しかし、そっからがダダ滑りなんだ。。。
まず、得たいと思う情報が都合よく寄せられるさまがとても浅い。吉岡は、少女たちの身体から欠損していた部位「耳、鼻、口、手」をネットで検索するが、手掛かりは何も得られない。そりゃそうだろうな。この検索で殺人に関する情報が出てきたら、子供が人間の身体のことを調べる時とか困るわ。

しかし、4つのワードに「神」を追加すると、仏教の教え「六根清浄」の情報が表示される。これにより吉岡は「儀式殺人を行った可能性がある」と犯人の動機に速攻で辿り着く。

ネット優秀すぎない?吉岡へのSEO対策がすげえ。というか、吉岡以外はネットで情報収集しないんだね?

また、高杉がSNSでちゃらちゃらと「情報求ム」と上げるや否や、すぐさま犯人に夜道で襲われる。犯人が何故かこちらの行動や居所を正確に把握しており、時間と空間を無視して現れるのは私の嫌いなスリラーあるある。ちなみに本作では犯人の神出鬼没ぶりは「警察官だから」で片付けられる。

友人が行方不明だという女子高生がSNSを見て訪ねてくれば、まさにその「友人」が吉岡らが捜索している少女と一致し、高杉がちゃらちゃらと不動産情報を検索すれば犯人の隠れ家も判明する。警察いらないな。

 

 

◇誰が一番ドンくさいか選手権

目の見えない吉岡をドンくさいと言っては誤解が生じそうだが、ドンくさいのは周囲の人間だ。視覚に不自由のない高杉や刑事たちの中にあって、不自由があるからこその特化した力により犯人に迫る、主役を活かすポイントはそこだろう。

しかし、この映画が行ったことは真逆。他の人間が、吉岡に合わせて歩調を緩めることで、吉岡が活躍する空間を無理やり作り出す。

その配慮というか浅慮が、不自然な間を作り出し映画全体をモタつかせる。残念としか言いようがない。以前こちらも貶しはしたが、本作を観ていてドント・ブリーズの面白さがようやく分かった。辻褄や設定など歯牙にもかけない超人ぶりを観ればよかったわけだ。

定年間近の田口トモロヲとやる気のない大倉孝二の刑事コンビの造形はいいとしても、トモロヲは人気のない場所で真犯人の日下部浅香航大に単身で迫り、「攫った子はトランクにいる」と言われ「どれどれ」と素直に覗きこんで殺される。
大倉は、高杉の「警察って正義の味方じゃねぇのかよ」との安い台詞に触発され、応援を待たずに「警察は正義の味方っていうところを見せてやるよ」と犯人の根城に踏み込んで殺される。

勝手にフラグを立てて勝手に自滅してしまいました。

 


◇走らない犯人

ドンくさい選手権の優勝者はぶっちぎりで犯人である。ってか、この犯人の顔がまったく覚えられない。何なら今、吉岡里帆の顔も思い出せないのだが。

吉岡が真相に近づいていることを知った犯人は、彼女を消すためにおびき出す(死んだトモロヲの携帯に吉岡からのメールが着信、それを見た犯人に存在がバレる・・・など全て予想通り)。

メガネ拭きのアルコールの香りから、犯人の正体を悟り逃げ出した吉岡は、盲導犬パルを頼みに車道脇の道を駆け、やがて駅へと逃げ込むのだが、ここでダメスリラーの次の特徴「急に無人になる駅」問題が発生。また、さらなる特徴「なぜか走らずに歩いて追ってくる犯人」もしっかりと押さえてくる。迫りくる恐怖をゆっくりした歩調と無表情で表す演出に、わたし飽きているのよ、いっそT-1000くらい走らせろ。

 

 

◇実況します。

オーケー、ちょっと耐えられなくなってきたので、スピーディに映画の残りを実況しよう。

エレベーターに追い詰められ絶対絶命の吉岡。主人の危機に、忠犬パル公が犯人に牙を剝いて飛び掛かる。しかし殺傷力の高そうな刀を持つ犯人に、土佐犬でもないパル公は、すぐに殺されてしまうだろう。ありがとうパル公、安らかに眠れ。

 

・・・。

 

何もたついとんねん、そのイヌ、あんたの手に噛みついてんのとちゃうよコートの裾に噛みついとるんよ。湾曲刀で紫電一閃、喉元を掻っ切ったらんかい。

しかし犯人は手に刀を持ったまま、犬を振り払おうと頑張る。もしかして女子高生と刑事は殺すが、動物は殺せないのだろうか?ジェイソンのように制約があるのだろうか?その間、パル公捨て身の攻撃を活かすことなく、エレベーター内に蹲ったまま「パルゥパルゥ」と叫んでいる吉岡。

 

・・・なに、このドンくささとモタついた空間。
私は今、何を見せられているの?

 

そんなとき、ついに凶刃がパルに振り下ろされる!キャウーンと地に倒れるパル公。


パル公ォォーーー!あなたの忠誠は忘れない。

 

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(ちょっと血が出ましたが、パル公は生きてます)

 

その後は何があったか忘れたが場面変わりまして、ネット検索して見つけた犯人宅に向かった吉岡らは、正直者選手権チャンピオンらしくちゃんとそこにいてくれた犯人と、家の中で鬼ごっこ。吉岡と助け出した女子高生を逃がすため、高杉が犯人と取っ組み合う。ここでも何らかの愛護精神を発揮した犯人は高杉を刺して傷をぐりぐり踏むなどするが、殺しはしなかった。手に持っている恐ろしい刀は人を殺傷するためにあるのではないのかいかいかい?

ここに至って、もはや観客は「なんで殺さないの?ホレいまだよ、その刀を拾って使わんかい」と犯人をせっつく立場に立たされる(わたしだけ・・・?)。

さぁ注目すべきは、盾になってくれた高杉を気遣いつつ、必死で逃げる吉岡が叫ぶ台詞だ。 

 

大丈夫、春馬くん(高杉)!?

 

うん、はるまくんはねえ、少なくとも大丈夫ではない。
いまねえ、犯人に刺されたところ。

 

はるまくんを倒し吉岡を追い詰めた犯人は、彼女の優れた聴覚を警戒して靴を脱ぐ。

あれ、ちょっと面白くなりそうじゃない? 既述の通り、「視覚を欠く吉岡が如何にして、そうでない人間を出し抜くか」が物語の鍵を握る。ラストの直接対決では、その見せ方が問われるところ。「見えないこと」を武器に吉岡はどのように犯人を狩るのか、あるいは狩られるのか!?
もしここで私を唸らせてくれたら、ソファに寝転んで「40てん」と鼻をほじるのをやめ、50点をあげてもいい。

 

チリリーン。

 

犯人、吉岡が床に落とした弟のキーホルダーかなんかを蹴っちまったー

聴覚が優れていなくても、誰でも聞こえるような音だったー

死んだ弟が、吉岡を守ってくれたぁあああーー!

 

よーし、じゃあ、先生、点数つけるぞー。30点だ。やっちゃいけないミスってのがあるぞー、次は気を付けような。

 

 

◇最後に褒めます

JK援交店の店長をやっていたほっしゃん。改め星田 英利がよかったです!あと、高杉真宙はいいと思う、名前の読み方を知らないけど。

 

引用:(C)2019「見えない目撃者」フィルムパートナーズ (C)MoonWatcher and N.E.W.