Yayga!

イェイガ!(Yay!+映画)- 叫びたくなるような映画への思いを書き殴ります

『闇金ドッグス』

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期末です。どいつもこいつも期末期末って、急に期末が目前に来るわけじゃなくて、3月がやってくること事前にわかってるわけでしょ?2月半ばに呼び出してさ、今期予算でやりたいから3月末までに何とかなりませんかって、あーたが何とかしいや。

今日は私、すごく鮮やかな黄色のスカートを着ているんです。で、同僚がキレイな水色のスカートを穿いていたんです。それで「私たち爽やかだねー、うふふ」って話してたら、後ろを通ったN氏が「中身、ババアやけどな」って。・・・。

そんなこんなで、プリプリしている私が週後半、残された力を振り絞ってお送りする、本日は闇金ドッグス』です。帰らないでください。Netflixでみられるからね!

私の身近な人々においては「来たな」と思われたかと思いますが、満を持してご紹介。弟の奥様いくちゃんは、ほわっとしていながら関西人らしさもあり「お姉さん、最近なにか面白い映画ありましたか?あ、闇金は結構です」など堂々と言ってきます。

先日、絶妙な言語センスで人体破壊映画を斬り続けるinoちゃまを、闇金に引きずりこんでやりました。ちょっと手招いたら、見事にこちら側に転がってきましたよ。本日は構成上、ハイローの悪口を言っていますが、許してね。

さて、『闇金ドッグス』は映画というよりVシネです。いっぱい出ています。

闇金ドッグス』  監督:土屋哲彦/2015年
闇金ドッグス2&3』監督:土屋哲彦/2016年
闇金ドッグス4&5』監督:元木隆史/2016年
闇金ドッグス6&7』監督:元木隆史/2017年
闇金ドッグス8&9』監督:元木隆史/2018年

 

◇概要

闇金を題材に欲望渦巻く裏社会に生きる人間たちを描いた「闇金ドッグス」シリーズ。若くしてヤクザの親分になり、稼業引退後に闇金の世界へ足を踏み入れたラストファイナンスの社長安藤忠臣(山田裕貴)は、元イケメンホストの須藤司(青木玄徳)とともに一癖ある債務者たちを追い込む毎日を送っていた。(映画.com)

安藤忠臣を演じる山田裕貴さんは、色々なドラマや映画で奮闘中ですが、現時点では数多排出されるライダー俳優枠に留まっている段階でしょう。頑張って下さい。そのため、闇金ドッグスを取り上げるブログは、山田さんを「推し」として応援する方々のファンブログがほとんど。シリーズが更新されるたび、皆さん固唾を飲んで忠臣さんの一挙一動を見守っております。ここは私が冷静に斬りましょう。いえ、私も山田さんのファンですが、流石に「ハイタッチつき★DVDお渡しイベント」とかには行かないので。

安藤忠臣(以降忠臣さん)は、AMGエンタテインメントがコツコツ作り続けているヤンキー映画の脇役として登場、後日彼を主役にして始まった新シリーズが『闇金ドッグス』である。お茶の間への浸透度はゼロ。

昨年山田さんは様々な映画に手当たり次第出演し、番宣のため情報番組に出ていたが、代表作として紹介されるのは大体『HiGH & LOW』だった。

『HiGH & LOW』EXILEとその仲間たちが作っている、スケールはデカイが中身は空白のドラマである。若者のいくつかのコミュニティが、時代も社会情勢も謎の世界で対立しており、「山王連合会」というザイルの推しメンたちを集めたチームを中心に熱き戦いが描かれる。山田さん目的でこのドラマを(早送りしながら)観た私だが、ザイルたちがどういった立ち位置で何を目的として戦っているのか分かっていない。途中誰か大怪我して入院したり、組織を作ったせんぱいがたと争ったりしていたけれど、原因も経緯も分からなかった。早送りしてるからね。

山王連合会の頭、つまり実質の主役は「俺、正社員になる」のCMで御馴染のガンちゃんなのだが、演技がクッソ下手発展途上であるので、「ぶっ殺すぞ」の台詞が漏れなく「俺、正社員になる」に変換されて困ってしまう主役だ。山田さんは、敵対グループ「鬼邪高校(おやこうこう)」の番長役で、これまた困ったことに超いいキャラクター。なので朝昼の情報番組で紹介されるのが『HiGH & LOW』になることに異論はないのだが、現時点で山田さんの代表作であるのは間違いなく『闇金ドッグス』略して闇ドでしょう。

 

◇ぺーぺー時代

ヤンキーシリーズの脇役で、チンピラとして登場した忠臣さん。高校を三日で辞めてヤクザの組に入り、十八歳で兄貴分をハジいて何らかの功績により組長に昇進。そして、手下の裏切りにあって組長を辞めた。←闇ドのスタート地点。

ありえない設定と言うなかれ、ヤクザの組ったって千差万別、有象無象でしょう?何とか会の何とか組で多くの企業を抱える組の組長もいれば、その傘下のそのまた傘下で、数人で看板掲げてる組だってあるンでしょう?知らないけどさ。だからいいんです。組長辞めて闇金始めた、この時点で多分まだ二十代前半、はい、レッツゴー。

組長時代には五十万をポンと貸してくれていた金貸し(高岡奏輔)が、組を辞めた途端に利子含めて金を返せと迫るところから話は始まる。忠臣さんは無一文で、一般社会においては振る舞い方すら分からない、まるで迷子の犬。なのに「借りたものは返す。それが仁義だ」と虚勢を張る。コイツかわいいなと思った(であろう)高岡奏輔が「なんならあんたも金貸しやってみるか」と言った次のシーンで、忠臣さんは手作りらしきチラシをペタペタと街中で貼っている。その驚くべき素直さ。長所。

その後、初回の客に何の保証(担保)もなく十万円を貸して逃げられる。高岡奏輔にノウハウを授けられ「初回は三万だろ、あと担保は取れ」と言われると、次の債務者アイドルオタクの良夫にはそのまま実行。素直。

良夫に金を貸す駐車場でのシーンでは、十万貸せと言う相手に「何に使うんだ」と質問。「えりなと握手するんだ」と言われ「えりな?」と眉を顰めながらもまた訊く。差し出されたアイドルノートを眉根を寄せつつパラパラと繰る。いいから、読まなくて。
良夫が「俺は働かない選択をしている。イデオロギーがあるんだ」というとイデオロギー?」と困惑。いいから聞かなくて。金貸したら、スッと去れ、スッと。

「借用書なんか取らねえ、俺の頭ん中に入ってる」って、いや、借用書は取ろう。

この時点での忠臣さんは「普通、人が何に金に使うのか」「何を考えて生きているのか」が分からない状態。さらにアイドルとの握手に十万円必要と言われて「ますます分からない・・」と馴染まぬ社会への困惑を表す、楽しいシーンなのである。

闇ド初期の楽しみ方は、平気で嘘を吐く債務者に振り回される忠臣さんを、高岡奏輔と共に「もう、しょうがないなあ」と保護者のごとく見守る、これです。だってお金なくて、中華屋の前で唾飲むシーンとかあるんだよ?

 

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良夫をタコ殴り、「昭和かよ」と呆れる高岡奏輔に「オレ流だよ」とのたまう。しかし一銭も回収できてはいない。

 

◇中堅時代

闇金ドッグス2』になると、事務所を借り債務者への回収態度もこなれてきて、闇金業は少しの安定を見せている。前作で債務者であった須藤司青木玄徳を雇ってバディ体制となり、ここから二人が交互に主役を務める形で「2&3」「4&5」「6&7」「8&9」が制作された。そして9を最後に止まっている。

これは司役の青木氏が現実でお起こしになった不始末のせいである。彼を「推し」とするファンの方々の間ではセンシティブな話題だろうが、私には関係ないので言うと、酔っ払って夜道で複数女性に後ろから抱きつき怪我をさせた。不起訴になったらしいが、その後の行方は知れない。そろそろ出てきて禊を済ませてはどうでしょうか。

劇中ではイケメン闇金融として女性客を掴む役だった青木氏だが、何よりカッコよかった映像が、事件後自宅から連行される際のニュース映像だった。事件を報じたYahooニュースのコメント欄は「イケメンすぎる」「言えば私が抱きつかせてあげたのに」というコメントで溢れた。

                    

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同感です。

9は上映中止の憂き目を見たが、何とかDVD化だけはされ、その中で「俺、女で失敗しないんで」との青木氏の台詞がカットされなかったことに万歳三唱。

また楽しいのが、映画の向こう側に透けて見える、少々ズレた監督やプロデューサーのおっさん制作陣だ。『闇金ドッグス』にて、高岡氏に「闇金ナメるなよ」と言わせるが、自ら闇金と名乗る珍妙さ、その名称が「いち職業」として一般流通していることを前提にしている可笑しみに気付いてらっしゃらない。

また『闇金ドッグス2』ラストで、騙し取った金を「もらっちゃえばいいのに」という司に、「馬鹿野郎、俺は詐欺師じゃねえ。金貸しだ」と返す忠臣さんには、「いつの間にそんな金貸したる自負を!?」と吹き出さざるを得ない。もしこれが、馴れない世間を相手に右往左往する忠臣さんを見せるために、敢えてのズレとして描く工夫ならば、その細やかさを褒めたいところだが、恐らく高い確率で制作陣の天然ボケだと思う。

 

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山田さんファンをざわつかせた、元カノみなみちゃんとのベッドシーン(事後のみ)。ベッドシーンへ転じるまでの流れも不器用なら、場末感溢れるラブホの部屋と元カノの格好にも、おじさん制作陣の苦労が見てとれる。

 

◇方向の転換

最初に紹介した通り、監督が1~3(正確には1ではないのだが1と呼ぶ)と4~9で異なり、これが作品のカラーに大きな違いを生んでいる。1~3は債務者の精神面の惰弱にテーマを置き、彼らの行動に振り回される主役二人を描いた。以降は実際の事件をモデルに社会問題を糾弾するものが多くなる。どちらがよいかといえば、圧倒的に1~3である。

1~3では、債務者への「うわ~、いそう!」と身悶えを伴うゾワっと感が、そのまま現実感となるが、5から先は社会問題の分かりやすい部分を摘んで強調するため、既視感のある描写が多い。それでいてベースの知識が付け焼き刃であることを隠せていない。観客側としても、わかりやすく切り取られた「底辺の人間の闇」を見せられていっぱしの「闇」を見た気になり、「こんなことを起こしてはいけない」「重くてヘコんだ」などと簡単に感じ入るのもちょっとね(ホントに知りたいなら、新聞や本を漁るべきでしょうね)。

主役の二人はあくまで、各回ピックアップされるテーマと債務者を際立たせるための存在である点が重要だ。二人が「生活」している描写はほぼなく、実際には尺の問題なのだろうが、結果的にこの生活感のなさが、彼らがただ金の回収のため動く無機質な存在であることを強調する効果になっている。だからこそ、債務者たちにはねっとりした身近な現実感が欲しい。

また何より残念なのが、作品が重なるにつれ、忠臣さんが法律なども勉強され、怖いもの知らずの経営者になってしまったこと。ペーペー期のように右往左往したり、イデオロギーってなんだと眉根を寄せるような可愛げが薄れて驚くほど万能、汗だくで走るシーンも減った。こういったことを総合して、1~3の方がわたしは好き。

やはり社会の底に位置する二人が、小悪党に翻弄され、最後は何らかの形で決着をつけて溜飲を下げる、このシリーズの魅力はこれに尽きる。

 

◇各回を彩る債務者たち

度々セリフがおかしかったりするのは、制作陣の天然ボケのせいだと思うのだが、一方で債務者のいやらしさはリアルで、また役者がえらく嵌っている。ボケと鋭さのマリアージュが、この作品を無視できない理由なのである。 

 

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1よりアイドルオタク良夫(古澤裕介):
出した金を引っ込めようとする忠臣さんを留めるとき「あいや、待たれよ」と急に時代がかった口調になるあたりがオタクっぽい。やたらしっかりした身体をしているので、ちゃんとした役者さんなのね。

 

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2より居酒屋の店長岡林(黒田大輔):
立場が上の者には阿るが、目下の人間に威張りちらす小市民感が非常にイヤー。行きつけのスナックのママに「本社から声掛ってるのに、現場主義に徹してるんですから~」見栄を張るのがとても気持ち悪い。

 

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3より芸能プロダクション社長沢村(津田寛治):
債務者ではないが。自分とこのタレントから大胆すぎる額のピンハネを行う。
「オッケー、グー。オッケー、グーですよ~」が口癖で一度聞くとしばらく耳から離れない。

 

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4よりAV制作会社社長(坂田聡):
手前の人。嫌らしい役をやらせたら右に出る者のない坂田聡さんが演じる。しかし会議で、新作AVのアイデアを語るシーンはやりすぎ。

 

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5より沼岸さん(菅原大吉) :
不器用さと気の利かなさが原因で職を失い、認知症の母親を抱えて困窮する。社会不適合っぷりを缶コーヒー1つで表現したのはなかなか!

 

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7より司の小学校時代の担任加藤先生(藤田記子):
誠実な教師に見えるが、小さな男の子にしか欲情しない変態おばさん。
「そうやって性的マイノリティをすぐ拒絶しますぅ」「○○な××をピーするのが最高なのよッ!」(←怖くて書けない)の台詞が強烈。

 

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8より湯澤家:
生活保護を不正受給して自堕落な生活を送る家族。贅沢といえば肉→スキヤキの描写にヒネりがなさすぎて、逆にいやらしさがない。なおインスタで8の感想書いたら、ママを演じた結城さなえさん(右)に「いいね」された。 

 

◇好きなシーンベスト3

<第3位>

3位は先程書いた、駐車場でアイドルオタク良夫に金を貸すシーン。 

<第2位>

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闇金ドッグス4』にて、AV会社社長坂田さんが300万貸してくれと土下座するシーン。担保はあるのか?と訊かれて「ありますとも!俺の、三つの『気』です!本気、やる気、勃起!と叫び、二人の冷たい反応を喰らう。言うと思ったけど名シーン。 

 

<第1位>

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闇金ドッグス2』にて、居酒屋店長岡林にトバれてブチキレるシーン。事務所の鏡を拳で割ってから岡林のアパートに走るも捕まらず、怒ってポスト殴打。イライラ貧乏揺すりしながら煙草を取り出す。やーん、タバコの銘柄、セッターなんだー❤︎

ようやく岡林を確保し、スナックのママに頼まれて保険に入ったんですーという馬鹿な岡林をビルの屋上にてシバく。「電話切れよ。うるせぇよ!」の言い方が好きすぎる。 

 

はい。あざしたー。

 

疲れてきたので最後は、血迷った制作陣がキングスマン ゴールデン・サークル』のポスターをパクッた闇金ドッグス9』の画像でお別れです。

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結果、まったく冷静に斬ることができませんでしたが、なんとなく魅力は伝わったでしょうか。

た『闇金ドッグス10』公開時にお会いしましょう!


引用:
(C)2015「闇金ドッグス」製作委員会/(C)2016「闇金ドッグス2&3」製作委員会/(C)2016「闇金ドッグス4&5」製作委員会/(C)2017「闇金ドッグス6&7」製作委員会/(C)2018「闇金ドッグス8&9」製作委員会